不動産に関する基礎知識

株式会社東京カンテイ

名古屋支店 不動産鑑定室

不動産鑑定士 波多野 茂

データで見る中部圏・分譲マンション事情

持家に関して、戸建住宅志向が比較的強いとされる中部圏ですが、

近年、都心部に分譲マンションが相次いで建築されています。

今回は、分譲マンションに関する様々なデータを使って、

中部圏の分譲マンション市場を読み取っていきたいと思います。

①新築マンション分譲戸数

マンション選びに重要視されるポイントの一つに「立地」が挙げられます。

交通利便性が高く、住環境が良い駅には、

分譲マンションが多く供給される傾向にあります。

直近10年に分譲マンションが多く供給された駅はどこでしょうか?

 

 

新快速利用で名古屋駅から約20分というアクセスの良さが供給戸数に反映された

JR岐阜駅が1位です。

上位には、人気の高い地下鉄東山線沿線の星ヶ丘駅(2位)、藤が丘駅(4位)

入りました。
そのほか、名古屋市郊外の主要ターミナル駅に多く供給されています。

久屋大通駅(7位)のように利便性の高い都心部にマンション建設が

相次いでいるのも近年のトレンドです。

②マンション化率

名古屋市内の各行政区の総世帯数に対して、

分譲マンションがどの程度竣工しているでしょうか? 

分譲マンションの「普及率」を表す指標が「マンション化率」です。

 

 

マンション化率が高い行政区は中区(1位)、東区(2位)でした。

共に利便性の高い都心部に高層マンションが集積しています。

しかし、名古屋市全体でみれば約18%と、東京23区や大阪市と比べて

戸建住宅志向が強いともいえるでしょう。

③年収倍率

中部圏は分譲マンションが買いやすい地域でしょうか?

新築マンション分譲価格及び築10年中古マンション流通価格が

一般勤労者の年収の何年分に相当するかを算出したものが「年収倍率」です。

数値が小さいほどマンションが買いやすいということになります。

 

 

愛知県の新築マンションの年収倍率は6.31倍と、

東京都の9倍台、大阪府の7倍台と比較して相対的に低く、割高感は顕在化しておらず、

「比較的買いやすい」といえるでしょう。

④旧耐震マンションの戸数・棟数

1981(昭和56)年6月1日よりも前に建築確認申請が受理されて

建築されたマンションは旧耐震基準マンションです。

東日本大震災を経て、人々の住まいに対する関心は、「利便性」「快適性」に留まらず、

「安全性」が重要視されています。

名古屋市内にはどれだけの旧耐震マンションが現存しているのでしょうか?

 

 

旧耐震マンションが最も多いのは、利便性に優る都心部の中区でした。

地下鉄の開通が早かった東山線が走る千種区・名東区が第2位・第3位でした。

⑤中古マンション資産倍率(マンションPBR)

中部圏で、分譲マンションの資産価値が高く維持されている駅はどこでしょうか?

株価の指標の一つであるPBR(Price Book Value Ratio)を基に、

一定期間内に分譲されたマンションンの資産価値が

新築分譲時の何倍になっているかを示した数値が、
「マンションPBR」で、下記のように求めます。

 

マンションPBR = 10年平均中古マンション価格 ÷ 10年平均新築マンション価格

 

 

マンションの資産倍率が最も高かったのは名古屋駅の1.38でした。

7位までがマンションPBRが1を上回っており、

資産価値が新築当初より高水準にて維持されていると同時に、

新築分譲時の価格が相対的に割安であったということがいえます。

 

 

以上、分譲マンションに関する様々なデータをご紹介させて頂きました。

マンション購入・売却をご検討される方の参考の一助になれば幸いです。

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