2008.12.23
寺尾会計の税務的な毎日
50年ぶりの相続税大改正!?先送り
今日は、50年ぶりの大改正となる相続税法改正である「遺産取得課税方式」が
先送りになったということで、言いたい放題してしまいます。
21年度の税制改正で、事業承継税制として株式の納税猶予制度が盛り込まれた
り、相続税が遺産取得課税方式に改められることになりました。
今の法定相続分課税方式は、何がダメなの?と言いますと、一番の問題は、
取得財産が同じ額でも相続ごとに税額が違うことが問題だというのです。
つまり、1億円の財産を相続したとしましょう。
A家は、相続人が5人いるので基礎控除が
5,000万円 + 1,000万円 × 5人 = 1億円
で、1億円 - 1億円 = 0 結果、相続税はかかりません。
B家では、相続人が2人です。 同様に計算すると
5,000万円 + 1,000万円 × 2人 = 7,000万円
で、1億円 - 7,000万円 = 3,000万円 に相続税がかかります。
また、遺産の総額が違っても変わってきます。
相続税は、所得税と同じように累進課税ですので、遺産総額が1億円の人と
10億円の人とでは、同じ財産額を相続しても かたや1,000万円、もう一方は
4,000万円も払うという不本意な結果になってしまいます。
これは、確かに不公平だと言えるでしょう。
遺産取得課税方式(新方式と呼ぶことにします)だと、相続人ひとりひとりに
基礎控除が設定(金額はまだ検討中)され、自分が相続した財産に限って申告
するので、この問題は解消されます。
しかも、法定相続分課税方式(現行方式と呼ぶことにします)は、
いったん遺産総額を計算し、法定相続分で相続税を計算しておいて、
実際相続した財産額で相続税を按分する
という2段階で計算するので、面倒です。
それに比べて新方式は、自分がもらった財産-基礎控除で計算するので、
単純明快 相続人にとってもわかりやすいと言えるでしょう。
この点に限って言えば「計算は楽になるな~」という感じです
第2の問題は、現行制度では居住用宅地や事業の継続に配慮した軽減や
株式の納税猶予の減額措置で軽減を受ける人以外の人までその恩恵を
受けるのがダメなんだそうです。
私的には、 平等に分けたくなる。
ただでさえ、権利主張する人が年々増えていて、後継者相続がムズカシイ
ご時勢なのに・・・
このままでは大金持ちがいなくなって小金持ちばかりになってしまう・・・
誰かが夏頃 「日本の文化が壊れる」と言ってました。
そんなたいそうな・・・と思ったものですが、今はそうでもない。
富の再分配という目的からするといい方向
でも、「平成の家督相続」推進委員会の一員(そんな委員会あるのか)
から見ると悪い方向
賛否両論、メリットデメリット、問題点の解決方法が日々検討されている
この「遺産取得課税方式」
今後の行く末をしっかり見定めなければいけません。
寺尾会計事務所に相談に来て下さる方の円満相続実現のために
by きみまろ