2013.03.23
社長応援日記
TPPは国益に適っているのか?
阿部首相が参加国との参加交渉への参加表明をしたTPP。
TPPとはTrans-Pasific Partnarshipの略で、
環太平洋戦略的経済連携協定や
環太平洋パートナーシップ協定交渉と訳されます。
太平洋を囲む国々が物、サービス、食品安全性、医療、雇用、
投資等についてルールや仕組みを統一しようという取組みです。
国際化が広がる現代において、
この取組みは素晴らしいものだと思います。
しかし、TPPは日本の国益にかなっているのでしょうか。
マスメディアでTPPは、関税の撤廃とGDPの増加について
議論されることが多いように感じます。
貿易に障害がなくなれば、各国の得意な分野はより成長し、
苦手な分野は更に衰退していくことになります。
日本の場合、得意な分野は機械、苦手な分野は農畜産業です。
自動車関連企業の多い中部地方はTPPで恩恵を受けられる企業も多いことでしょう。
一方で、関税に守られている農業や食料自給率に多大な影響が
あることもご存知の通りです。
農林水産省の試算では、TPPへの参加で、
農作物の生産量は、米90%、小麦99%も減少し、
食料自給率は現在の40%から13%へ減少することになります。
たとえ数品目の関税は維持できたとしても、 多くの農家への影響はやはり甚大なものとなります。
私は国内の畜産業が衰退していくことに大きな懸念があります。
食べるということが生きる上で必須の活動であるからです。
TPPに参加すれば、
日本は食分野で世界的に弱者の立場に立たされます。
消費者保護法のような条約なしにそのような立場に進んで立つことは
懸命な判断と言えるでしょうか?
例えば、米国のBSE検査は
日本の牛肉輸入条件に比較にならないほど緩く、
BESの可能性が否定できない30ヶ月超の牛も
検査なしで輸入されることになります。
遺伝子組み換えの食品も、
その表記なしに販売されることになるでしょう。
各国のルールを、
各国中でもっとも質の高いレベルに統一するならともかく、
現状より低いレベルで妥協しなければならないわけですから、
無視できない問題というわけです。
また、関税以外にもTPP参加には様々な問題点があります。
例えば、人の移動も自由になり、
たくさんの外国人が日本に働きにくることになります。
これは日本の失業率を上げる原因にもなります。
そして、外国人の中には、
テレビで取り上げられるような親日派の方だけでなく、
日本の文化を尊重しない人たちもたくさんいますから、
治安や日本における礼儀・時間の正確さなどといった
日本の美点も一気に失われてしまうのではないかという
危惧も抱いています。
手間や時間はかかるかもしれませんが、
各国ごとにFTA・EPAという貿易・経済協定を結ぶことで、
コントロールしながら少しづつ仕組みを整えて行く方が
日本の国益に適っていると感じます。
GDPや経済・景気を優先するあまり、
国民の生活の質や安全性・快適性を損なわせることのないよう、
政府には慎重な検討をお願いしたいところです。