2020.05.25
経営支援資料館
コロナウィルス感染拡大防止に「在宅勤務」! 第5回 在宅勤務の導入事例(その2)
ライター 吉田典史
前回に引き続き、在宅勤務を導入した会社を紹介します。
いずれも、私が2015年から現在に至るまでに取材した会社です。
今回はIT企業で、正社員60人。創業12年になります。
在宅勤務導入の時期:2016年
対象:正社員全員(入社年次、部署、役職などは関係なく、全員)
導入の狙い:「就労場所を柔軟に選ぶことができるようにして、働きやすい職場をつくる」
■労働時間の厳格な管理
在宅勤務で生じやすいのが、労働時間のトラブル。
この会社はそれを事前に察し、管理を厳格に行っています。
毎日、全社員がSkypeを使用して午前10時の朝礼、午後5時の終礼に参加します。
この場で、上司が出勤や退勤や健康状態、仕事の現状や課題の確認を行うのです。
ただし、子どもの面倒などで参加ができない場合は例外扱いとしています。
■メールの発信制限
労働時間の厳格な管理をするため、
上司が部下などにメールを送ることに一定の制限を設けています。
原則として、20:00∼5:00と休日に社内メールの送信を禁止にしたのです。
ただし、次の場合は例外です。
「事故対応、顧客対応上至急の連絡」
「時差のある海外とのメール連絡」
「事件、災害などのメール連絡」
「変則や交替勤務や休日振替により、深夜や休日が所定就業時間の場合」
「緊急を要すると所属長などが判断した時」
■報告や連絡、相談
主にSkypeを使います。
入社時の研修や業務上の研修も、WEBサイトなどを見ながらSkypeを使い、実施します。
「リアルタイムに常時コミュニケーション」を全社員共有の基本方針としているのです。
■チームで仕事をする
在宅勤務だからこそ、なおさら、チームで行うことを重視しています。
社内には、様々なチームがあります。
1つのチームは多い場合は10人を超えますが、通常は7人程です。
業務の内容、難易度、進捗状況やリーダーの考え、本人の適性や希望を考慮し、
メンバーを変えることはあります。
各グループにリーダーを1人配置し、マネジメントに従事します。
役員は「グループのメンバーが互いに声を掛け合うなどして関知し合い、業務の進捗を常に確認し合う。在宅勤務はきちんと管理をする仕組みを設けないと、機能しない」と話していました。
本社には2人の業務コーディネーターがいて、在宅勤務のチームリーダーとSkypeを使いながら連絡をとり、在宅社員の業務を支えます。業務コーディネーターは社長や総務部長に随時報告し、全社的に在宅社員の健康状態に配慮しているのです。
在宅勤務は働く場所や時間が自由になるイメージがあります。
しかし、会社員である以上、一定の歯止めがないと、
質の高い仕事をすることはできません。
そのことをこの会社の事例からは学ぶことができるのではないでしょうか。
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