2020.05.25
経営支援資料館
コロナウィルス感染拡大防止に「在宅勤務」! 第6回 まとめ
ライター 吉田典史
今回は、最終回として小さな会社(正社員30人程)の在宅勤務導入のケースを紹介します。
本連載のまとめとして、学ぶべき事例だと思い、取り上げました。
2020年に、オンライン取材をしたものです。
1、「仕組み」作りから始める
まず、業務や作業などの大きな流れや顧客とのやりとり、履歴をまとめた文書を
PDFなどでデータ化しました。
それを共有フォルダに保管し、全社員がパソコンを通じて閲覧できるようにしたのです。
ふだんから定期(月に数回)の会議や部署ごとの話し合いで共有意識を高めていくことが必要です。
データ化の成否のポイントは、この意識にあります。
小さな会社の場合は、日常に使う書類をデータ化し、いかに保存、保管し、共有するか、と
考えるとよいでしょう。
なお、全員と入社時の守秘義務契約を交わし、セキュリティを守っています。
2、ハードや通信環境を整備する
1を進めつつ、ほぼ同時期に取り組むべきはハードや通信環境を整備することです。
私の他の会社などの取材経験をもとに言えば、
ハードでは、全社員に持ち運びに便利なノート型パソコン(デスクトップではなく)を、
可能ならばスマートフォンを1台ずつ貸与できればベストに近い状態になります。
通信環境の整備は、特に自宅でのインターネットの接続環境を整備することが必要になります。
この場合、全社員の環境をたとえば、光回線に統一しようとすると無理が生じます。
見切り発車で構いませんから、自宅にいて会社とメールやオンラインでのやりとりができる人には
とりあえずは在宅勤務を認めていくことをお勧めします。
その後、徐々に環境を可能な範囲で統一させていきましょう。
通信環境の整備は、テレワーク製品は一般社団法人日本テレワーク協会発行の
「中堅・中小企業におすすめのテレワーク製品一覧2.0版」をご覧になるとよいでしょう。
自治体のテレワーク推進センターなどに相談するのもお勧めです。
●参考 「中堅・中小企業におすすめのテレワーク製品一覧2.0版」
https://japan-telework.or.jp/wordpress/wp-content/uploads/2019/05/Tool-product-list-Ver2.0.pdf
3、トライルは少人数で実施
この会社はいきなり、全社員を対象に始めるのではなく、
まずは、在宅勤務の必要性がある社員数人から始めました。
ここは、見落とされがちなポイントです。
その状況を見つつ、丁寧なヒアリングを行い、ルールを作ります。
当初は、厳格なルールではなくとも、おぼろげなものでも構いません。
とりあえず、スタートしながら軌道修正を繰り返したのです。
小さな会社の場合は、この路線が現実的です。
社員全員が、在宅勤務をしなくとも構わないのではないでしょうか。
大切なのは社員の納得感を高め、仕事への姿勢をよりよきものにして、
業務のスピード化を図り、顧客や取引先の信用を強くすることです。
そして、部署や会社の業績を上げ、社員の賃上げを可能にすることでしょう。
それが定着率を高め、組織の求心力を強くして、
厳しい時代に生き残る会社を作っていくことになるのだと思います。
コロナウィルス感染拡大は不運なことであり、大きな問題です。
一刻も早く、社会に落ち着きが出ることを願っていますが、
在宅勤務は小さな会社を大きく変える好機とも言えるのです。
ぜひ、これを機に検討をされてはいかがでしょうか?
今の時期を逃すと、いずれ後悔する時があるように思います。
完
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