2020.08.24
中小企業の事業承継
中小企業の事業承継:経営権とオーナー財産
会社を経営している方の悩みの種の一つに「事業承継」があります。
『自分が続けてきた会社を次世代につなぎたい』と、
経営者であれば一度は考えられたことがあるのではないでしょうか。
中小企業の事業承継には「人的対策」と「物的対策」が必要です。
中小企業の事業承継には「経営権委譲の問題」と「自社株・オーナー財産の問題」がある
と言い換えることもできます。
事業承継の計画をたてる際、また相続が発生した際に、
事業関係者や相続人が「経営権委譲」と「遺産相続」の違いを理解していないと、
次世代への経営権のバトンタッチは難しくなります。
「経営権委譲」は、株主や経営者が定めた期間に、後継者へ、
時間をかけて、会社の経営権を継承していくことです。
「遺産相続」は、人が亡くなった際に、相続人等が、
その日における被相続人の財産債務を承継することです。
中小企業の場合、経営権を有するオーナー経営者が
会社の資産や株式の大部分を有している場合が多いものです。
半世紀前のように、親の仕事を長男が承継する家督相続の時代には
「経営権委譲」と「遺産相続」がほぼ同じ意味を有していたため、
後継者育成やお得意様・従業員との関係性構築といった経営権委譲に重点を置いた
対策が有効でした。
しかし、 法定相続分の意識が高まってきた現代では、
「経営権」と「遺産」を分けて考え、
遺産分割も考慮した上での経営権の確保を検討する必要があります。
事業承継には10年後を見据えた計画が必要と言われます。
ご自身が事業を起こされた方の場合には『初めての事業承継』となり、
何から始めたらいいか戸惑っている間に、年齢を重ねていかれる方も少なくありません。
まずはこの2つの違いを理解し、それぞれの対策を検討していきましょう。