2021.04.03
確定申告よもやま話
寺尾会計における 2020年度(令和2年分) 確定申告 申告状況
新型コロナウィルス感染症拡大防止の対策として、今年は早々に確定申告期限が4月15日まで1ヶ月延長されました。相談会会場への入場規制などがあり、対応に苦慮された方もみえたのではないでしょうか。
当事務所における申告件数は昨年と比べて微増でした。
申告期限延長により、時間的制約に対する重圧が軽減された状況で仕事を進めることができ、本来申告期限の3月15日時点では9割方作成を終えることができました。(まだ一部のお客様の申告が残っておりますが・・・)
それでは、毎年恒例の「寺尾会計事務所における確定申告状況」をご報告いたします。
■個人事業所得
コロナ禍における業況の悪化が顕著に現れておりました。持続化給付金を始めとする各種支援金・補助金が支えになったことは言うまでもありません。
消費税率が申告期間通期で10%となり、前年よりも売上が減少した割には、消費税納税額が減らず、負担になっています。
■不動産所得
貸店舗等の家賃減額要請に応えられた大家さんが多数お見えになったこともあり、大半の方の不動産所得は減少。賃貸物件の新築も減少傾向。コロナ禍の中、大規模投資を控えられた表れですが、意外にも外壁塗装などの大規模修繕を実施された案件は、以前と変わりないくらいございました。借り手側の心境として「古くても安く快適な物件」を選択される方向にあったように思います。
■不動産売買
土地建物譲渡申告件数は、昨年よりも3割減少。相続税納税のための売却案件も少なかったように感じます。
■株式譲渡
2020年も株価は好調であったため、過去の赤字との通算申告はございましたが、単年度の損失繰越案件は、ごく僅かでした。金利が低迷する中、以前に比べて株式などの証券に投資されている方は増えています。
■所得控除
住宅ローン控除及び住宅取得資金贈与の申告案件は数件に留まりました。やはりコロナ禍での大きな買い物を差し控えられたものと推測されます。
医療費控除は、全体の4割以上の方が適用。この割合に変動はありませんが、通院や入院が制限され、医療費の支出額が減少した方が大半でした。
本年3月よりマイナンバーカードが健康保険証として使えるようになりました。と言いたいのですが、本格運用は10月へ延期されました。将来的には、受診記録がマイナンバーカードで集計され、領収証が無くとも医療費控除に活用できるようになるそうです。システムの動向を見極めつつ、上手に活用していきたいものです。
税制改正により一定額以上の所得がある方については、基礎控除と配偶者控除が減額または控除できなくなりました。10年前に15歳未満の年少者の扶養控除が廃止されましたが、人的控除は無くしてゆく方向にあるようです。
■贈与税申告
相続対策としての計画的贈与を毎年実施されている方に変わりはありません。その他の一般贈与案件は減少しました。
新型コロナウィルス感染症の影響を受けて、お金の使い方を考えさせられた1年でありました。
ワクチン普及による終息を願うところですが、まだまだ先行きが読めない不安な状況です。
経済、政治(税制)、電子化など、激しく変化する環境に対応できるよう、皆様に必要となる情報を適宜発信するよう努めてまいります。