2021.05.23
寺尾会計の税務的な毎日
暦年課税がなくなる?
税制は政策的な観点から毎年改正が行われています。
令和3年度の税制大綱の中で気になる方針として
経済社会の構造変化を踏まえた相続税・贈与税制の見直しがあります。
検討方針では次の2点が主張されています。
・財産の分散贈与を通じた意図的な税負担の回避を防止し、格差の固定化を防止する。
・早期の資産移転を促進し、経済社会を活性化する。
現行の贈与税は、暦年課税と相続時精算課税の2種類により課税されています。
原則的な暦年課税を利用した暦年贈与は、年間110万円まで贈与税が課税されないため
毎年贈与することにより、相続税の節税を図ることができるのは周知の節税策です。
相続時精算課税(以下「精算課税」という)は平成15年に創設されました。
創設意図は、「富の再分配」「経済社会の活性化」ですから
まさに今回の税制大綱における見直し方針と合致する制度であるといえます。
そのように考えると、
今後、暦年課税による贈与課税を廃止する方針であることが読み取れます。
資産課税は議論がされてもなかなか変更されない傾向にありますし、
まだ方針段階ですのでなんとも言えませんが、
将来的には暦年贈与により節税対策ができなくなるかもしれません。
この機会に、相続対策や生前贈与を検討されてみてはいかがでしょうか。
参考HP:
自由民主党 令和3年度税制改正大綱(p18)
https://jimin.jp-east-2.storage.api.nifcloud.com/pdf/news/policy/200955_1.pdf