2021.10.13
経営支援資料館
会社をひとつにして強くする社員活力創出経営のススメ 第1回 中小企業こそ社員の力で最高のチームをつくる
オフィスオントロジー
代表 組織活性化コンサルタント 友成治由
人材活用の取り組みに「待った!」
「人材を活用して会社を発展させる。」
そう言うと、まっさきに、人事制度や効率的な仕組みなど“方法”を思い浮かべます。
経営理念を思い浮かべたりもする方もいるでしょう。
それらにいったん「待った!」をかけてください。
その取り組み、「ひと」が主役になっていますか?
中小企業はヒト、モノ、カネという資源は限られています。
しかし逆に言えば、集中しやすい、というチャンスにもなります。
資源の中でも、モノやカネを創造し活用していくのはヒト=「ひと」です。
レーザービームのように「ひと」に集中することで、
世界中のどこにもない魅力をもった会社になることができるのです。
中小企業こそ、ひとりひとりの活力の最大限の発揮が必要です。
会社として、「ひと」の意欲や能力を発揮させられる力は、強力な強みなのです。
問題がかえって大きくなる「やらされ感」
多くの経営者が「ひと」ではなく、制度や手法など方法論から入ってしまいます。
そのため制度や手法の実施ばかりに注意が飛び、気がついたら社員の心が離れていた、
そんな事態もよく見聞きします。
どんな効率的な手法も、それを実施するのは「ひと」です。
どんなにいい制度であっても、社員たちの活力やモチベーションが皆無ならば、
ねらう効果は全く発揮されません。
だからといって、社員にありがたい訓示や理念斉唱をさせれば、
すぐに社員のモチベーションがアップするかといえば、そんなに単純でもありません。
これらの取り組みは、「外から社員を動かそう」とする発想だからです。
社員視点から見ると、「外から動かされている」感覚になります。
これを「外発的動機」といい、社員には「やらされ感」が生じます。
子供でも大人でも、人間がもっとも抵抗するのは「やらされ感」です。
「やらされ感」の状態で仮に社員が動いたとしても、その動機は、
「怒られるから」「評価に響くから」「給料さえもらえればいい」
など、マイナスのモチベーションばかりになります。
それは会社に欲しい社員の姿でしょうか?
外発的動機では問題はかえって増え、組織の生産性も全く上がらない事態になります。
「みずからやりたくなる」を生み出そう
「ひと」を本当に動かしたいと思えば、
「みずからやりたくなる」を生み出さなければなりません。
仕事そのものへの情熱、仲間とともに同じ目的に向かう楽しさ、成長する喜び。
内からわき出る「内発的動機」を生み出す環境づくりが必要です。
会社の目的・目標と、社員の内からわき出るモチベーションが合致したとき、
社員たちは内発的動機で会社にみずからコミットし、最大限の力を発揮していきます。
さまざまな制度や手法の実施にも意欲がわき、ねらい以上に効果を発揮するのです。
では内発的動機が湧き出るにようにするにはどうすればいいのでしょうか。
それにはあなたの会社で働くことに「意味」を感じることです。
「ひと」は誰にでも「いい仕事をしたい」という本来の欲求があります。
ソレをやることで自分自身の人生に意味が感じられる、そんな仕事がしたいのです。
「意味づくり」は会社の「キー能力」
こういう話をしますと、ときには
「意味は自分で見つけるものだ。それが社会人というものだ。」
などの反論がきたりもします。
ですが個人の話で終わらせては、それ以上の進展はありません。
あえて会社の取り組みとすることが重要なのです。
社員たちのモチベーションが高くなり、ひとつになって能力を発揮できれば、
生産性もあがり、業績は上がります。
「意味づくり」を意図的に起こせる力は、中小企業の「キー能力」なのです。