2021.12.03
経営支援資料館
会社をひとつにして強くする社員活力創出経営のススメ 第6回 社員の質がスパイラル上昇し続ける組織学習
オフィスオントロジー
代表 組織活性化コンサルタント 友成治由
組織活性化が根づかないのはなぜか?
社員たちが日を追うごとにレベルが上がったら素敵ですよね。
社員たちが学習し続けることで、会社も強くなり成長し続ける組織づくり。
それが、組織学習です。
せっかくの理念浸透やモチベーションアップなど組織活性化の取り組みも、
一時的なイベントで終わり根付かないのは、継続的組織学習が無いからです。
学習というと、専門家や権威者の講義を聞くことやテキスト学習などを思い浮かべがち。
しかし組織学習とは、そういった外部の知識やノウハウを仕入れることではありません。
何度も似たような問題、現れていませんか?
「社員たち」が本当に育つのは、日々の仕事の中です。
毎日現場で発生する問題に悩み、解決していくことで成長します。
とはいっても現場に没頭するだけでは、やはり途中で成長は止まってしまいます。
部分的な熟練人材にはなれても、会社全体に思考が行きわたらないからです。
組織学習とは、日々現場で発生する問題を単に解決するだけではなく、
その「意味や本質」を問い続け、全体で共有し続ける取り組みのことを言います。
問題が発生した場合、技術や方法など、まずは知識やノウハウが役に立ちます。
しかし、問題の「意味や本質」が見えないままでは、同じ性質の問題が形を変えて、
何度も現れることになります。
たとえば、こんなことありませんか?
- いくらマネジメント研修を受けさせても、部下の退職率は変わらない…
- 営業方法をいくら効率化しても、営業社員はすぐにやる気をなくしてしまう…
- 人を変えて新規事業にチャレンジしても、次の人もやっぱり失敗してしまう…
何度も現れる問題は、もう、知識やノウハウの問題ではないのです。
問題そのものに対する「自分たちの考え方や在り方」の問題なのです。
組織学習が目を向けるものとは?
組織学習では、問題という目に見える現象ではなく、その奥に目を向けます。
「問題がわたしたちに迫るテーマとは何か」
「問題を生んだ、本当の問題は何か」
「問題に取り組むとき、わたしたちはどんな考え方、在り方でいるか」
役職や部門をこえて、一見目には見えない本質や自分たち自身を掘り下げます。
継続的に意識的に取り組むことによって、問題に向き合うレベルそのものを
全員で上げていこうとするのです。
組織学習は『学習する組織』(ピーター・センゲ)で紹介され、世界中の問題解決や
組織づくりに影響を与え続けています。
驚くべき話として、殺し合っていた対立民族同士が互いに顔を合わせ「学習しあう」ことで、
お互いの考え方や在り方の前提を理解し合い、協力し合う地域が実現できたという
目覚ましい事例もあります。
アインシュタインは、
「問題はそれが起きたのと、同じレベルで解決することはない。」
と言っていますが、組織学習は自分たち自身を、今の問題発生レベルより
高いレベルに押し上げるための取り組みと言えるでしょう。
組織学習実践のポイント
組織学習のポイントは以下になります。
- みながみなの個人ビジョンを大切にしつつ、ひとつの同じビジョンを共有すること
- 組織全体の視点を全員が共有し、立場を越えてチームで学習すること
- 問題ではなく、問題を起こしている自分たち自身に矢印を向けること
継続的な組織学習は文化になります。
いまの社員たちの育成だけでなく、これからの社員たちが育つ風土をもつくっていきます。
組織学習は、まるでらせん階段のように、組織を強くしなやかにし続ける取り組み。
組織学習で毎日成長していきませんか?