2022.02.13
経営支援資料館
中小企業における障害者雇用の効果的な進め方のポイント 第6回:障害者の採用で確認すべき3つのポイント
障害者雇用ドットコム
代表 松井優子
第3回で、障害者雇用に失敗しないための5つのステップをご紹介しました。
ステップ1:社内の障害者雇用の方針を決める
ステップ2:自社に合った障害者雇用の理解促進をおこなう
ステップ3:障害者が従事する業務の抽出と切り出しをおこなう
ステップ4:採用活動をおこない、入社前に現場の受け入れ体制を整備する
ステップ5:採用した障害者が職場定着できるフォロー体制をつくる
今回は「ステップ4:採用活動をおこない、入社前に現場の受け入れ体制を整備する」
についてお話します。
障害者を採用するときには、入社後のミスマッチを防ぐために、
応募者の情報をできるだけ正確に把握することが大切です。
どのような点を面接で確認するとよいのかについて見ていきます。
本人が働きたいという意欲を持っているか
まずは、障害者本人が、本当に就職したい意欲をもっているかどうかを確認してください。
採用する側としては、
採用面接に来ているのに、就職の意思を確認するなんて・・・と思われたかもしれません。
しかし、一般の採用と違って、
障害者雇用の場合は就職できる選択肢よりも少ないことや、
学校や訓練機関を卒業するなどの時期的な兼ね合あいから、
障害者本人が就職する意欲がなくても、就職活動をしているケースが少なくありません。
就職への希望は、保護者や就労支援機関のスタッフ、学校教員などの
周囲の人の影響がかなり大きいのです。
本人が「働きたい」という意欲をもっていないと、
職場が思っていたイメージと違う、何か課題が出てきたといった際に、
すぐに退職になってしまうケースがあります。
働くための準備ができているか
障害者が働きたいという気持ちがあっても、
働くための基本的な自己管理ができていないと、働き続けることは難しくなります。
障害者雇用の中では、この「働くための準備」で求められることを
働く上で必要とされる「職業準備性」として表現しています。
この職業準備性は、健康管理、日常生活管理、対人スキル、
基本的労働習慣、職業適性という5つの能力に分類され、
「職業準備性ピラミッド」として示されています。
大切なポイントは、これがピラミッドとして積み上がっていることです。
どんなにスキルや能力があったとしても、どんなに作業能力が高かったとしても、
基本的な職業準備性が整っていないと
一時的にはよくても、どこかで影響がでてしまい、職場定着することはありません。
障害状況を把握し、合理的配慮についての説明ができるか
また、本人が自分自身の障害状況を把握しているか、
職場でどのような配慮を必要としているのかの説明ができるかを確認することも必要です。
事業主は、障害者本人から仕事をしやすくするための配慮を求められ、
その配慮が合理的であれば、応じる必要があります。
この配慮のことを「合理的配慮」といいます。
「合理的配慮」は、
平成28年4月改正の障害者雇用促進法から、事業主の義務となりました。
そのため事業主の義務を果たす上でも、障害者がどのような配慮を求めているのか、
それに対して企業側にはどのような対応が必要なのかについて、
障害の状況や合理的配慮の観点から把握しておくことは大事です。
ただし、企業に合理的配慮を示す義務があるとはいえ、
障害当事者からの申し出のすべてに対して、
そのまま対応しなければならないという意味ではありません。
「合理的配慮」とされる措置が、過重な負担を及ぼす場合は除かれます。
障害者本人から申し出があった合理的配慮について、
企業内で検討した結果、対応が難しい場合もあります。
そのような場合には、合理的配慮を示すことが難しい理由について
障害者にきちんと説明することができるでしょう。