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コラム

2022.12.23

寺尾会計の税務的な毎日

令和5年度 税制改正大綱

12月16日に令和5年度 税制改正大綱が与党から公表されました。

 

『このままではわが国が世界経済の中で埋没していってしまうという危機感も背景に
現在、直面している難局を契機として、
2,000 兆円に及ぶ個人金融資産、500 兆円に及ぶ企業の内部留保といった資金や資産に光を当て、
変化に立ち向かうための新たなモメンタムを創り出す覚悟を決めなければならない。 』p1

*モメンタム・・・勢い、はずみ、推進力

 

上記の基本的考え方等を基に、大きな改正項目のある税制改正大綱となったように思います。

 

諸処の改正項目案の中から、気になる項目をいくつか取り上げました。


=円滑・適正な納税のための環境整備=
適格請求書等保存方式(インボイス制度)の円滑な実施について p19

① インボイス発行事業者となる免税事業者の負担軽減
これまで免税事業者であった者がインボイス発行事業者になった場合の納税額を
売上税額の2割に軽減する3年間の負担軽減措置を講ずる

上記の措置は
令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間において
適用されます。

② 事業者の事務負担軽減
インボイス制度の定着までの実務に配慮し、一定規模以下の事業者の行う少額の取引につき、
帳簿のみで仕入税額控除を可能とする6年間の事務負担軽減策を講ずる

*一定規模以下の事業者・・・基準期間(前々年又は前々事業年度)における課税売上高が1億円以下の事業者など
*少額の取引・・・課税仕入れに係る支払対価の額(税込価額)が1万円未満の取引

上記の措置は
令和5年10月1日から令和11年9月30日まで間に国内において行う課税仕入れについて
適用されます。


=経済社会の構造変化も踏まえた公平で中立的な税制への見直し=
(1)個人所得課税のあり方 p14
① 極めて高い水準の所得に対する負担の適正化

各種所得を合算した所得金額(基準所得金額)が3.3億円以上の高所得者
所得税を追加負担
する。
負担率の追加分は、所得50億円程度で2~3%程度と試算されています。

上記の措置は令和7年分以後の所得税について適用されます。

(2)資産移転の時期の選択により中立的な税制の構築 p16
① 相続時精算課税制度の使い勝手向上
相続時精算課税においても、110万円の基礎控除を創設する。

② 暦年課税における相続前贈与の加算
相続財産に加算する期間を7年に延長する。
ただし、相続開始前4~7年間に受けた贈与については、合計額100万円までは相続財産に加算しない。

上記の措置は
令和6年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る相続税又は贈与税について適用されます。

相続の際に財産を取得する方に対する、令和6年以降における贈与は
相続時精算課税を検討していく局面も増えてくると考えます。

また、予想される相続税率によっては、
令和4年、令和5年において多めに暦年贈与しておくという手段も考えられるでしょう。


=防衛力強化に係る財源確保のための税制措置 = p21
防衛力の抜本的な強化を目的に、
防衛費の財源として2027年度(令和9年度)において1兆円強を確保するため、
下記の税制措置を講ずる。

① 法人税
法人税額に対し、税率4~4.5%の新たな付加税を課す。
中小法人に配慮する観点から、課税標準となる法人税額から500万円を控除することとする。

② 所得税
所得税額に対し、当分の間、税率1%の新たな付加税を課す。
復興特別所得税の税率(2.1%)を1%引き下げるとともに、課税期間を延長する。

③ たばこ税
3円/1本相当の引上げを、国産葉たばこ農家への影響に十分配慮しつつ、
予見可能性を確保した上で、段階的に実施する。

以上の措置の施行時期は、令和6年以降の適切な時期とする。


いずれも上記事項が確定するのは、来年3月の国会における可決が待たれます。

 

また、今後の検討事項として記載された内容については、今後の動きが注目されます。p117など

年金課税における拠出・運用・給付を通じて課税のあり方

小規模企業等に係る税制のあり方については、所得税・法人税を通じて総合的に検討する。

・働く意欲を阻害せず、公平で、働き方に中立的な税制を構築するための諸控除の見直し
私的年金等に関する公平な税制のあり方
複式簿記による記帳水準の向上等

マンションの相続税評価の適正化

参考HP:自民党 令和5年度与党税制改正大綱
https://storage.jimin.jp/pdf/news/information/204848_1.pdf

文中のページ数は税制改正大綱の該当ページです。

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