2023.03.13
寺尾会計の税務的な毎日
夫が妻の名義でNISA口座をつくることができますか
今年の所得税、贈与税の確定申告期限も目前に近づいてきました。
お客様や職員のおかげ様で、何とか無事に確定申告期間を終えることができそうです。
毎年、資料回収や不明点の確認等にご協力を賜りますこと、
また、ご相談等のタイミングを計ってくださいますこと、
その他、皆様からの多くのお心遣いにこの場を借りて御礼申し上げます。
さて、間もなく令和5年度税制改正大綱も国会において可決される時期となりました。
今年度の改正項目の一つにNISA制度の抜本的拡充があります。
NISAは、Nippon Individual Savings Account=日本版個人貯蓄口座の略称です。
この制度は、口座内の有価証券を譲渡したり、その有価証券に係る配当等を受取ったりしても
所得税や住民税が課されないという制度で、
個人の投資に対するモチベーションを上げることを狙いとする制度です。
投資可能額が広がるこの際にNISA口座での投資を始めてみたいという声も耳にするところです。
さて、そういったご相談の中で、
夫が妻の名義でNISA口座をつくることができますかというご質問がありました。
結論としては、できません、となります。
課税は実質的な所有者に対してなされます。
従前は、妻名義で保有しているものの実質的な所有者が夫というケースも見られました。
俗に言う「名義貸し」というものです。
しかし、NISA口座は1人につき1口座しか開設できず、
1口座ごとに年間非課税枠が設定されていますから、名義貸しという認識はできないものと考えます。
夫が出資して妻名義のNISA口座内で有価証券取引を行った場合、
NISA口座に資金が入金された際に、夫から妻へ贈与されたと認識されると考えられます。
夫から毎月渡される生活費の余り、へそくりをNISA口座へ入金しても同じお話になるでしょう。
もちろん贈与と認識されても、年110万円までは贈与税の課税はありませんし、
110万円を超えても、贈与税申告と納税を行えば、贈与すること自体に課税上の問題は生じません。
納税する贈与税以上に運用益が上がれば、運用と資産移転がうまくいったということにもなるでしょう。
夫婦2人でNISA口座を運用すれば、世帯としては非課税枠が2倍となるわけですから
今後どのように資産を運用していくかを考える良い機会であると捉えることもできるでしょう。
金融庁 NISAとは?