2023.05.23
社長応援日記
マイナンバーって、結局、何に使われているの?
国税庁の発表によると、e-Taxの利用率は毎年増加しています。
e-Taxの利用のためにマイナンバーカードを取得された方もあるのではないでしょうか。
総務省によると、人口に対するマイナンバーカードの交付枚数率は
令和5年4月末時点で69.8%と、1年前に比べて25%も増加しています。
これにはマイナポイントの付与も大きく影響していると考えられるものの、
マイナンバー法が制定された平成25年には、マイナンバーに対する不信感があった国民が
マイナンバーやマイナンバーカードの仕組みに慣れてきている現れと見ることもできるでしょう。
そこで今回は改めて、マイナンバーとマイナンバーカードについて調べてみました。
マイナンバーカードの利用方法は大きく3つあります。
①マイナンバーの確認
②ICチップで、電子証明書の利用
③ICチップで、空き領域の活用
「マイナンバーカードの利用 ≠ マイナンバーの利用」という認識がポイントです。
利用という際に、①マイナンバーそのものの利活用なのか、②③のICチップの利活用なのか
というポイントを抑えると、そのサービスの本質がわかりやすくなります。
総務省 民間事業者におけるマイナンバーカードの利活用
https://www.soumu.go.jp/kojinbango_card/cardrikatsuyou.html
①マイナンバーの確認
マイナンバーカードには、マイナンバー法で規定される個人番号(マイナンバー)が記載されています。
当初のマイナンバー法では、税・社会保障・災害対策でしか使えないはずであったマイナンバー。
現在のマイナンバー法では、
「マイナンバーは社会保障、税、災害対策などの、法定された行政手続で利用する」とされています。
つまり、マイナンバー法制定当時からは利用範囲が拡大されており、
法で定めれば、どのような行政手続についてもマイナンバーを利用できる可能性が広がっています。
例えば、法務省は戸籍関係情報の提供に関する事務の処理についてマイナンバーを利用できるようになりました。
これに伴いマイナンバーを利用した新しいシステムを構築し、本年度中に各行政機関からの戸籍情報の照会に対応する予定です。
この仕組みのおかげで、今後、行政手続におけるあらゆる場面で戸籍の提出が不要になるように進められていくことでしょう。
なお、税理士法人のような民間機関が家族関係等を把握するためには引き続き書面の証明書による確認が必要ですが、その書面の証明書も、ここで構築される新しいシステムにより、最寄りのあらゆる市区町村役場の窓口ですべて請求することができるようになります。
なお、情報漏洩防止のため、行政機関の間での情報のやり取りはマイナンバーは直接使われていません。
法務省民事局 戸籍法が改正されてできるようになること
https://www.moj.go.jp/content/001295591.pdf
法務省民事局 戸籍法の一部を改正する法律の概要
https://www.moj.go.jp/content/001295590.pdf
②電子証明書の利用、③空き領域の活用
上記2つについては、マイナンバーカードに搭載されているICチップを利用します。
このICチップには、マイナンバーは登録されていません。
ですから、マイナンバーカードの利用場面が増えたからといって、
マイナンバーそのものが使われる機会が増えたというわけではありません。
たとえば、e-Taxやインターネット等で行うパスポート申請は
②電子証明書のうち、署名用電子証明書の機能を利用しています。
これは「送信した文書が、利用者が作成した真正なものであり、利用者が送信したものであること」を証明するのに使われます。
また、マイナポータルへログインする際やコンビニで住民票の写しを受取るサービスには
②電子証明書のうち、利用者証明用電子証明書の機能が利用されています。
これは「ログインした者が、利用者本人であること」を証明するのに使われます。
今年(令和5年)5月11日から、androidスマートフォンでマイナポータルアプリを通じて
この電子証明書が使えるようになりました。
このアプリでも、マイナンバーそのものは利用しません。
なお、③空き領域については、まだ広く利活用されていない状況のように見受けられます。
デジタル庁 スマホ用電子証明書掲載サービス
https://www.digital.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/494e7749-cb53-4bdd-aeeb-49c26d5edbf5/421bb753/20230426_policies_mynumber_resources_leaflet_01.pdf
デジタル庁 スマホ用電子証明書
https://myna.go.jp/html/about_electronic_certificate_for_smartphone.html
国に強制的に付与されたマイナンバーは好む好まないとに限らず、いつの間にか多くの個人情報を紐づけしています。
また、電子マネーやインターネットバンキングなど、デジタルを利用した決済や情報連携が急速に拡大してきています。
わからないことには、なんでも不安になるものです。また、コンビニで住民票の写しを受取るサービスでの不具合のようなニュースが上がると、さらに拒否感ばかりが増してしまいます。しかし、デジタルや電子データはわからない世界だから、とそれらを知るための情報を初めから拒否してしまうのは危険であるように思います。
思わぬ危険を回避するするためにも、制度の仕組みや利活用についての情報に積極的に触れていきましょう。