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コラム

2023.10.23

家督相続 〜円満な相続のために〜

遺産分割協議後に遺留分を主張できますか

今回は相続に関する話題で、最近つづけていただいた質問をご紹介いたします。

Q:父が亡くなり、相続人は兄と私の2名です。
  父の遺産についてよく理解しないまま、
  兄が80%、私が20%の遺産を取得をする旨の遺産分割協議を行い、協議書に署名しました。
  その後、遺留分という考え方を知りました。
  私は遺留分に不足する金額(5%相当)を兄に請求できますか。

A:遺産分割協議が完了していますので、
  基本的には遺留分の主張をすることはできないものと考えます。
  特別な事情がある場合には弁護士さんへご相談下さい。

  また、遺産分割協議をやり直すことはできますが、
  取得者が変更された財産は贈与税や所得税の課税対象となります。


令和元年に遺留分制度が見直しされた頃から、
お客様から「遺留分」をいう言葉を耳にすることが増えてきました。

遺留分とは、法律上保障された最低限の遺産取得分のことです。

遺言書で相続する財産について指定がある場合や生前に贈与された財産がある場合等に
遺留分を検討していくこととなります。

例1)相続時の財産は6億円だったが、すべて兄に遺贈する旨の遺言書があった。

その場合、相続開始時の財産6億円に対して遺留分(1/4)がありますから、
妹は1.5億円を兄に遺留分として請求することができます。

例2)相続時の財産は1億円だったが、亡くなるすこし前に5億円が兄に贈与されていた。

その場合、贈与財産5億円を持戻した6億円に対して遺留分(1/4)がありますから、
妹は1.5億円を兄に遺留分として請求することができます。

逆に言えば、上記のような偏った財産割合の遺言書や生前贈与等がなかった場合には、
遺留分の侵害額を請求するという考えは生じません。
それは、遺産は、分割協議を通じて相続人間の自由な意思をもって分配できるためです。

とはいえ、
「長男は父の世話を見てくれていたし、法定相続分を主張するつもりはないけれど
遺留分くらいの遺産はいただきたい」と、遺産分割の際のよりどころの一つとなる事例も度々目にします。

このように遺留分相当額だけ遺産を主張したければ、協議の中でそのように主張を行えばよいわけです。

共同相続人のだれかがその主張に合意できなければ、裁判所で調停・審判を受けることとなります。
最終的に裁判所の審判で遺産分割する際には、法定相続分に従って分割されます
遺留分に従って分割はされません。

いずれにしても、遺産分割に合意をした後にその分割内容を変更することは
相続人間で再協議をしなければならないという点でも、課税関係という点でも
難しいと言わざるを得ません。

遺産分割協議を行う際には、しっかりと納得をしたうえで署名捺印し、
署名を行った後は遺産分割については思い返さない
という心持が大切になるように思います。

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