2023.11.13
寺尾会計の税務的な毎日
税を考える週間:所得税と簿記
毎年11月11日から17日のこの1週間は 『税を考える週間』です。
これは、税の仕組みや目的等、国の基本となる税と税務行政について
国民各層がより能動的に、また、一層深く理解してもらうことを目指して
国税庁が行っている広報・広聴週間です。
国税庁のHPにも、特設ページが設けられています。
https://www.nta.go.jp/about/introduction/torikumi/week/index.htm
このメルマガでも毎年、税の豆知識を紹介しておりますが
今年は「所得税と簿記」についてクイズをしてみたいと思います。
所得税は、その所得の性格に応じていくつかの種類に区分されます。
ずばり、所得は何種類に区分されるでしょうか?
①5種類
②10種類
③15種類
↓
↓
答えは②10種類です。
これらの所得区分は担税力の違いという視点から分類され、所得区分ごとに課税の取扱いが異なります。
この10種類を所得の発生原因という性格により分類すると次のように区分されます。
資産性所得:利子所得、配当所得、不動産所得、山林所得、譲渡所得
勤労性所得:給与所得、退職所得
両方の性格を持つ所得:事業所得、一時所得、雑所得
また、この10種類を経常性という性格により分類すると、次のように区分されます。
反復的・継続的:利子所得、配当所得、給与所得、不動産所得、事業所得
一時的・非経常的:退職所得、譲渡所得、一時所得
両方の性格を持つ所得:山林所得、雑所得
では、この所得区分の中で、簿記を使うのはどの所得区分でしょうか。
ヒントは、反復性と複雑性です。
↓
↓
答えは、不動産所得、事業所得、山林所得です。
これらの所得は、一般に取引量が多く、取引を繰り返し行うという特徴があります。
また、雑多な性格を有する取引を行うという特徴もあります。
例えば、不動産所得の場合、
収入一つをとっても賃貸料、礼金、太陽光発電の売電収入など様々な性格を有する取引があります。
さらに、賃貸料だけみても、どの資産を貸付けるかによって、地代、家賃、駐車料などに分けられます。
このように、上記3つの所得は取引量が多く、雑多な取引が予定されているため
取引があった都度、メモをしておくことで、取引の事実を忘れないようにしたり、
結局年間を通しての利益がいくらであったかを認識したりします。
このメモを取るルールを「簿記」といい、この会計ルールを使って記帳していくこととなります。
この簿記のルールに従って一定水準の記帳をし、その記帳に基づいて正しい申告をする方は、
青色申告の制度の適用を受けることができます。
これは、所得金額の計算などについて有利な取扱いが受けられる制度ですが、
簿記による記帳が求められていない7つの所得区分についてはこの制度の適用はありません。
毎年確定申告をして、納税されている方でも、
存外、税の仕組みの基本となる考え方を知る機会が多いとは言えないのではないでしょうか。
税の仕組みを知り、考えることは、納得して納税すること、国政に参加することにつながります。
あらためて税の意義を思い出し、納税するご自身を誇りに思う1週間となればと思います。
参考HP:国税庁 所得の区分のあらまし
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1300.htm
国税庁 青色申告制度
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2070.htm