2023.12.23
寺尾会計の税務的な毎日
令和6年度 税制改正大綱
令和5年12月14日に自民党・公明党から令和6年度税制改正大綱が公表されました。
『我々は、今、大きな時代の転換点にある。』
この一文で始まる今回の大綱。
デフレ脱却のため、『物価上昇を上回る賃金上昇』を最優先課題に据えられました。
・賃上げ促進税制の強化
大企業、中堅企業、中小企業と区分した上で、
中小企業については、当期の税額から控除できなかった税額控除の額を
5年間繰り越すことができるようにする。
これによって、当期が赤字であっても賃上げによる税制のメリットを受けることができる
・賃上げ促進税率の上乗せ
教育訓練費、くるみん、えるぼしを活用すると、最大45%の増額控除を受けられる
上記の賃上げとの相乗効果を狙って、定額減税が盛り込まれました。
(果たして減税分は消費に回るでしょうか)
・令和6年の所得税・個人住民税の定額減税
合計所得金額が1,805万円以下の納税者、配偶者、扶養家族に対し
一人あたり所得税3万円、住民税1万円を減税する
また、経済社会の構造変化を踏まえた税制の見直しということで
子育て支援措置や地方税の充実確保が図られました。
・子育て世帯等に対する住宅ローン控除、住宅リフォーム税制の拡充
子育て世帯は「子育て特例対象個人」といい、次のいずれかに該当する個人をいう
・年齢40歳未満かつ配偶者を有するもの
・年齢40歳以上かつ配偶者が40歳未満のもの
・年齢19歳未満の扶養親族を有するもの
他にも、次のような改正内容が盛り込まれています。
・事業承継税制の特例承継計画の提出期限延長
・住宅取得等資金の非課税制度の3年延長
・GビスIDとe-Taxの連携
・国際的な暗号資産等報告の枠組み
・戦略分野国内生産促進税制の創設
電気自動車等(蓄電池)、グリーンスチール、グリーンケミカル、
SAF(持続可能な航空燃料)、半導体への投資を税額控除の対象とする
・中小企業 事業再編 投資 損失準備金制度の拡充
M&Aを実施する際の積立率を拡充し、措置期間を10年に延長する
そして、今年度も今後の個人所得課税のあり方などが検討課題として記載されました。
・子育て支援
・私的年金等、退職給付に対する課税
・所得控除の見直し
・記帳水準の向上
・16~18歳の特定扶養控除上乗せ部分の復元
・ひとり親控除の所得要件緩和(500万円→1000万円)
参考HP:自民党 令和6年度税制改正大綱
https://www.jimin.jp/news/policy/207233.html