2024.05.23
寺尾会計の税務的な毎日
定額減税 月次業務の準備はお済ですか
いよいよ6月がやってきます。
令和6年6月といえば、定額減税が開始される月です。
6月1日以後最初に支払を受ける給与等に係る源泉徴収税額から
定額による所得税・住民税の特別控除(定額減税)が実施されます。
給与計算の担当者の方は、月次減税事務の準備はお済みでしょうか。
準備①<事前確認>
給与を支払う従業員が、基準日在職者に該当するかどうかを確認します。
基準日在職者の要件は次のとおりです。
・令和6年6月1日現在で在職している給与受給者であること
・令和6年6月1日現在で居住者であること
・甲欄適用者(扶養控除等申告書を提出している者)であること
準備②<事前確認>
従業員の同一生計配偶者の有無を確認します。
定額減税の対象となる同一生計配偶者の要件は次のとおりです。
・年間の合計所得金額が48万円以下である
・居住者である
所得税の所得控除の計算では、
給与所得者本人の合計所得金額が1,000万円以下の場合のみで配偶者控除の適用があります。
しかし、定額減税に係る税額控除の計算では、
合計所得金額の多寡は同一生計配偶者の判定に関係しないため注意が必要です。
準備③<事前確認>
従業員の扶養親族の数を確認します。
定額減税の対象となる扶養親族の要件は次のとおりです。
・控除対象扶養親族 および 16歳未満の扶養親族
・年間の合計所得金額が48万円以下である
・居住者である
給与計算では、控除対象扶養親族のみが扶養人数にカウントされますが、
定額減税では、16歳未満の年少扶養親族も対象となりますので注意してください。
準備④<徴収すべき源泉徴収税額の計算>
各給与計算ソフトで、定額減税に対応するバージョンアップがリリースされています。
給与計算ソフトを利用している企業様は、まず、ソフトのアップデートを行って下さい。
そして、定額減税を行うか否かの判断を行うキーとなるデータが
正しく入力されているかどうかを確認します。
定額減税の対応は、給与計算ソフトによって異なりますので
お使いのソフトのサポートページを確認しましょう。
また、給与計算ソフトを使用していない企業様は、個人別管理表を作成して
どの従業員から、いくら源泉徴収税を控除し、
次月へ繰り越される定額減税の残高がいくらなのか、わかるように記録します。
なお、国税庁HPにて管理するためのExcelデータが提供されています。
https://www.nta.go.jp/users/gensen/teigakugenzei/yoshiki.htm
準備⑤<住民税>
令和6年については、6月分の住民税控除額は一律0円となります。
よって、7月10日納付期限分の納税もありません。
特別徴収税額の決定通知書の数字をよく確認するとともに、
6月分の住民税控除がないのは誤りでない旨、従業員へ伝えられるようにしましょう。
準備⑥<表示>
給与支払明細書へ実際に控除した金額を「定額減税(所得税)××円」などと記載します。
従業員へ渡す給与支払明細書の書式を変更し、金額の記載漏れがないように気をつけましょう。
一つ一つの準備自体は難しいものではありませんが、従業員が多くなればなるほど煩雑となります。
6月を前に、給与計算の社内体制を見直して、準備に抜かりがないかを確認しておきましょう。
参考HP
大阪国税局 ご存じですか?令和6年分所得税 定額減税
https://www.nk-net.co.jp/nisinari/image/teigakugenzei_01.pdf
国税庁 定額減税 特設サイト
https://www.nta.go.jp/users/gensen/teigakugenzei/index.htm
PCA 定額減税の対応について
https://pca.jp/area_support/teigakugenzei/index.html