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コラム

2024.10.23

寺尾会計の税務的な毎日

住んでいた家を売却した時の税金は減額されやすい<所得税>

今回は、居住用財産を譲渡した際の税務(所得税)について説明していきたいと思います。

住んでいた家を売却した場合、不動産(土地・家屋)の譲渡となり、譲渡所得の対象となります。
生活を脅かす税負担を求めることがないように、居住用財産を売却する際にはいくつか特例が設けられています。


中でもよく適用される特例が、俗に「3000万控除」といわれる「居住用財産の譲渡所得の特別控除」です。
これは、譲渡所得(譲渡対価-経費)のうち3,000万円までは所得税が課されないという規定です。

ですから、例えば、住んでいた家や敷地が2,000万円で譲渡された場合、
所得税の申告をすれば、所得税・住民税は課税されません。


では、住んでいた家や敷地が1億円で譲渡され、経費が2,000万円だった場合、
つまり、譲渡所得が8,000万円だった場合はどうでしょうか。

まず、前述の特別控除が適用され、課税される譲渡所得は5,000万円となります。
ここで「居住用財産の長期譲渡所得の課税の特例」が適用される可能性があります。

この特例は、俗に「長期譲渡の軽減税率」といわれており
譲渡所得のうち6,000万円までは所得税率を10%に軽減する規定です。

通常、5年より長く所有していた財産に係る譲渡所得に対する税率は15%ですから、
この規定により5%分の所得税が減額されることとなります。
なお、住民税も通常5%の税率が4%に減少します。

すると、課税される譲渡所得5,000万円×税率10%で、所得税額は500万円となります。
これら2つの特例規定がない場合の税額と比較すると、700万円減額されていることとなります。


注意すべきであるのは、これらの特例は要件に適う居住用財産の譲渡にのみ適用される点です。

たとえば、次のような場合に「長期譲渡の軽減税率」は適用されません。
親族間での売買である。
住んでいたのは所有者ではなかった。(親所有の不動産に子が住んでいた)
・ずっとその土地に住んでいるが、建替えてから10年経過していない
・譲渡の年から3年以内に住宅ローン控除を適用する予定である。

譲渡所得は毎年発生する所得ではなく、所得が大きくなりがちである一方、
状況により特例が適用できることも多いため、譲渡する前に税理士へ相談することをお勧めします。

また、年内に譲渡されて税理士へ申告を依頼する場合には早めにお声がけいただけますと幸いです。

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