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コラム

2024.12.03

寺尾会計の税務的な毎日

取引相場のない株式の評価額が変わるかも?<財産評価>

令和3年6月1日における日本の企業の数は337万社です。
そのうち証券市場に上場している企業の数は4千社です。
つまり、99.9%の企業は、その株式が不特定多数の者により売買されていません。

税法では、不特定多数の者により売買されていない株式を「取引相場のない株式」といいます。
相続や贈与、譲渡をする際に、取引相場のない株式(非上場株式)の時価を把握するのは大変困難です。

そこで、課税上の評価額を計算する方法は財産評価通達で示されています。

近く、この財産評価方法が改正され、算定される株式評価額が引きあがるかもしれません。

この11月6日に「既存の財産評価方法を検討することが肝要」と、会計検査院が国税庁へ指摘したためです。


取引相場のない株式は、次のいずれに該当するかにより2つの異なる方式で価額が算定されます。
経営支配力を有している場合(オーナー)・・・原則的評価方式
経営支配力を有していない場合・・・・・・・・特例的評価方式

原則的評価方法については、次の2つの理由から
株式の評価の公平性が確保されているとはいえないとしています。
●これまでの評価通達の改正の影響によって低い評価額が選択できてしまうこと、
●配当金の金額が評価額の高低に反映する計算式となっているのに、
サンプル1,600件の申告のうち配当をしていない会社が約80%を占めていたこと

また、特例的評価方式については、次の理由から
社会経済の変化に応じたものになっていない恐れがあるとしています。
●会社の配当金額について定められた還元率(10%)が
昭和39年の評価通達制定当時の金利(6%強)等を参考にして設定されていること


これらの指摘を受けて、国税庁は「実態の把握に努める」としています。
どのようなスピードで、どういった方向に検討されるかはわかりませんが
現在よりも取引相場のない株式の評価額が上がる可能性は高いように考えています。

今年もあと1カ月。
取引相場のない株式の評価方法が変わるかどうかは確定した情報ではありませんが、
相続対策を考える中小企業のオーナーさんや株主さんは、本年中の株式贈与や譲渡について前向きに考えてみませんか

参考HP:会計検査院 相続等により取得した財産のうち取引相場のない株式の評価(特定)
https://www.jbaudit.go.jp/report/new/summary05/pdf/fy05_tokutyou_13.pdf

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