2024.12.23
寺尾会計の税務的な毎日
令和7年度 税制改正大綱
令和6年12月20日に自民党・公明党から令和7年度税制改正大綱が公表されました。
今回の大綱は「賃上げと投資が牽引する成長型経済」を目指して
次の3点を軸に税制改正が組み立てられています。
①成長型経済への移行とその発展を支える
②働きたい人が働きやすい環境をつくる
③厳しい国際環境や国際的要請を踏まえる
①国内設備投資と賃上げの促進等
・所得金額が年10億円を超える中小企業等に対する法人税率の引上げ P8、P53
所得金額のうち800万円以下の金額に適用される税率を15%→17%へ引上げる
・売上高100億円超を目指す中小企業の設備投資の促進 P8、P54
中小企業経営強化税制を延長・拡充する
②所得向上、社会インフラの整備等
・物価上昇局面における税負担の調整 P4、P20
所得税の基礎控除の見直し…最大48万円→58万円
給与所得控除の見直し………最低55万円→65万円
配偶者や扶養親族控除対象者の所得金額要件の見直し…48万円以下→58万円以下
・年齢や働き方に中立で、負担能力を踏まえた公平な税制の構築 P4、P21
特定親族特別控除の創設…配偶者特別控除の特定親族バージョン
大学生世代がこれまでより多く働いても親等は所得控除が受けられる
(ただし、控除金額は逓減する)
・子育て世代への支援 P13、P28
生命保険料控除の拡充
一般の場合より、一般生命保険料控除の限度額を2万円引上げ
子育て世代の住宅ローン減税の優遇措置の延長
一般の場合より、借入限度額を500~1000万円引上げ
・iDeCoの拠出限度額の引上げ P10、P33
③国際情勢や地球温暖化対策等
・グローバル・ミニマム課税の法制化 P14、P83
企業が世界中のどこで事業を行っていても、最低15%の税負担を求める
・消費税の外国人旅行者向け免税制度のリファンド方式への見直し P15、P77
外国人旅行者は一旦消費税を負担した上で、空港にて免税分消費税が還付される
・防衛特別法人税の創設 P17、P96
所得金額のうち500万円を超える部分に対して4%が課税されます。
所得税への付加については検討を翌年以降に譲りました。
15年前に行われた法人税率の引下げは利益の企業留保を促進することとなり、
意図した成果を上げてこなかったと結論づけています。
今後、法人税率を引き上げつつ、ターゲットを絞った政策対応を実施する方向性も記載されました。P6
また、3年前から引き続き、所得税制に関して
年金や退職金に係る税制の見直しや各種控除の見直しが翌年度以降の検討課題として謳われています。P10
国民一人一人が実際の賃金・所得の増加という形で豊かさを実感できるような社会に近づけるよう
税制だけでなく、社会制度も動き出しています。
税制を含む社会制度が変わるだけでは社会は変わりません。
社会の変化に乗り遅れないように情報のアンテナを高くし、
今、自分の出来ることは何かを考えることが求められる時代であるように思います。
参考HP:
自民党 令和7年度 与党税制改正大綱を決定
https://www.jimin.jp/news/policy/209630.html
文中のページ数は税制改正大綱の該当ページです。
NHK 令和7年度 税制改正
https://www3.nhk.or.jp/news/special/zeisei2025/