2025.03.23
寺尾会計の税務的な毎日
寺尾会計における 2025年度(R6年分) 確定申告 申告状況
今年もおかげさまで、確定申告を期限内に全件終えることができました。
期限厳守は仕事をするうえで当たり前のことですが、資料のご提供や質問事項へのご回答など、お客様のご協力があってこその結果であると、感謝申し上げる次第です。
さて、恒例となりました寺尾会計事務所における確定申告状況をご報告させていただきます。
令和6年分の所得税は定額減税の実施があり、普段は納税されている方の中にも、税額なしや税金が還付される方がありました。
■個人事業所得
株式市場とは相反して中小零細企業での業況は厳しく、事業所得が前年を下回る方が多かったと思われます。日に日に上昇していく原価や賃金などに対する価格転嫁は簡単ではなく、苦慮されているのではないでしょうか。
令和5年10月より始まったインボイス制度により消費税課税事業者を選択された事業者様については、消費税の計算期間が1年分となりました。納付額が預かった消費税の2割となる特例制度が令和8年まであるものの、今まで消費税を納めずに済んでいた時から比べますと、事業者の負担が増えていることは間違いございません。
■不動産所得
建築価格は益々上昇傾向にあります。その様な中でも、新しく賃貸物件を建てられた方は一定数お見えになりました。
しかし、既存住宅を含めて、賃貸物件の賃貸料は殆ど上がっておりません。金利も上昇局面にありますので、不動産投資を行われる際は、事前のシミュレーションをしっかり行い、長くても10~15年で回収できるプランを考えると良いかと思います。
ちなみに、インボイス番号がないことによる賃料減額交渉は、今年も殆どなかったようです。
■株式譲渡
2023年に引き続き、2024年も株式市場は好調であったことから、特定口座内にて譲渡損失となっていた方は非常に少なかったです。
配当実績も堅調であり、特定口座をお持ちの大半の方に配当所得がありましたので、税金及び社会保険料等の観点から、分離課税か総合課税とすべきかの判定をさせて頂きました。
■不動産売買
相続人共有で相続した不動産を売却されるケースが徐々に増えている印象があります。
空き家特例や相続税の取得費加算といった特例がどこまで適用できるのか、また、各申告者の持分や取得の経緯に誤りがないかなど、確認を要するポイントが多くあります。年中に不動産売買が完了し次第、確定申告期を待たずに資料をご提供いただくことで、一件ずつ丁寧に判断を行いました。
■消費税
先に記載した2割納税制度を使われている方や簡易課税制度を適用されている方は、売上高が分かれば消費税額も確定するため、算出に際してさほど手間を要しません。
しかし、本則課税を適用されている方の税計算は、インボイス開始前とは大きく異なり、確認事項や区分計算など非常に煩雑になりました。この計算を納税者ご自身で正確に行うのは中々難しい作業ですので、私どもにお任せいただければと思います。
■贈与税申告
贈与税申告に関する案件は昨年よりも2割程減りました。
税制改正前に令和5年中に贈与を済ませた方がいたことによる影響と思われます。
相続税改正が令和6年より施行されたことに伴い、贈与を行った方について、相続時精算課税制度の選択有無をご説明させていただきました。贈与者の年齢や健康状態、今後の贈与計画、子や孫に対する教育方針など、一概に答えが出るものではございません。またご家族の状況も年々変化されていくでしょうから、都度ご相談いただければと思います。