2020.05.25
経営支援資料館
コロナウィルス感染拡大防止に「在宅勤務」! 第4回 在宅勤務の導入事例(その1)
ライター 吉田典史
今回と次回で、在宅勤務を導入した会社を紹介します。
いずれも、私が2015年から現在に至るまでに取材した会社です。
今回は大手メーカー(精密機器)で、正社員1500人。創業60年になります。
在宅勤務導入の時期:2017年
対象:正社員全員(入社年次、部署、役職などは関係なく、全員)
導入の狙い:「多様な人材が効率的に合理的に、生産的に働くことができるようにする」
■要件
原則として全員が対象ですが、次に挙げた条件をすべて満たすことが必要になります。
これらを満たしていない場合は、上司が了承しないこともありえます。
A 「職務内容が在宅勤務に適していること」
B 「在宅勤務を行うことで、個人・組織の生産性向上が期待できること」
C 「本人及び職場の通常業務遂行に支障がないこと」
D 「在宅勤務日に上司の在宅勤務日変更や、
在宅勤務中の急な出社・出張命令及び所定外労働命令に応じられること」
E 「在宅勤務時間中に育児・介護、自身の障害やそのほかの業務外の理由により、
業務が中断することなく、業務に集中できる環境であること」
特に大切であるのは、Dです。
状況いかんでは、上司が部下に在宅勤務日を変更させたり、
出社や残業をするように指示できるようにしてあります。
何かのきっかけで社員に出社を命じざるを得ない場合がありうるためです。
このルールをあらかじめ、社員全員で共有すると、後々のトラブルを防ぐことができます。
■申請
全社員共有の勤務申告システムを通じて、各自が上司に申請します。
記入フォーマットには、次のことを記入します。
対象日、在宅勤務の開始・終了予定の時間や業務内容、就業場所、就業理由など。
申請は、原則として前日まで。特別の用などで事前申請ができない場合は、当日申請も可能。
■報告、連絡など
毎日、開始時と終了時に、上司にメールを通じて報告します。
当日の成果物は、終業時にメールに添付して上司に送るか、
もしくは共有フォルダなどに保存し、その旨を報告します。
在宅勤務日は、1か月に最大7日まで。
この「最大日数」もあらかじめ明確に決めておきましょう。
トラブルになりやすいところです。
■特に注意していること
在宅勤務時は、会社が貸与するパソコンを使用します。
目的は、情報やデータなどが外部に漏洩するのを防ぐためです。
ただし、環境整備や維持にかかる費用、光熱費などは
在宅勤務をする社員が各自負担しています。
今回の事例から学ぶべきは、
明確なルールを作り、全社を挙げて共有することです。
ルールが曖昧な時には、様々なトラブルに発展する場合があるかもしれません。
ぜひ、心得ておきたいものです。
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