2021.02.03
経営支援資料館
「思わず買わせてしまう顧客心理学」のIT活用術 第6回 ヴェブレン効果 価格競争に巻き込まれない方法
リフォーカス株式会社
片桐かほり
1.「ヴェブレン効果」とは
みせびらかしたい等の顕示的消費の場合、
価格が高いほど需要が高くなる現象のことをいいます。
もちろん「高いことを納得させるだけの価値」があってのことです。
ブランド商品を購入する心理によくたとえられます。
例えば、「〇〇くらいもっていないと流行に遅れる」という感情などです。
物だけではなく、「宇宙旅行」や「一見さんお断りの京都・祇園のお茶屋への出入り」
などの無形のサービスでもかなりの費用がかかることはわかっていても、
一度は経験してみたいと思うことも同様だと思います。
2.ヴェブレン効果と時代背景
わたしを含めバブル世代は、日本史上最高のブランド商品消費世代でした。
DCブランドに身を包み、高級腕時計をはめて、高級輸入車を乗り回す。
いまでは考えられないような活気と豊かさにあふれた時代でしたが、
当時はそれが「生きる価値」となっていた人は多かったと思います。
まさにヴェブレン効果に振り回された世代でした。
時は変わり、現代では皆がこぞって高級品を買い漁るようなことは激減しました。
そこへ天候や地震、コロナウイルス等の影響により更に景気が悪くなりました。
こんな時、売上をあげるために安直に行われてきたのが「安く提供」することでした。
しかしどこよりも安い価格設定をしても、更に安い競合他社が出現すれば
値段だけで選んでいる人は皆そちらに流れます。そして更に安い値段に変更する。
こうした価格競争に巻き込まれることを防ぐために、
商品をブランド化し価値をつけて少しでも高く売っていく方法があります。
3.ボールペンを例にあげると
商品のブランド化と高い付加価値の例として、ボールペンで考えてみましょう。
書けるだけで充分というなら100均のボールペンで十分ですが、
例えば感性工学の知識を駆使し「持った時の絶妙な感触と重さ」「書きやすさ」
という付加価値をつけたボールペンを開発しブランド化することで、
価格をグンと引き上げることができます。
「今の経済事情の中で高額商品は売れない」、と勝手に思っていませんか?
商品価値が高いと思ったら日用品でも「こだわり」のあるものを使ったり、
ECサイトの普及により衝動買いが見られるようになるなど、
以前はみられなかった消費行動が顕著になってきました。
日本人の価値基準が時とともに多様化しているように思います。
こんな時代だからこそ、商品に新たな価値を与えることで思わぬ需要が生まれる可能性は
十分あります。(机上の空論ではなく、その具体的な方法はいくつか存在しています)
4.三方良しのヴェブレン効果
あなたが商品(サービス)の売り方に迷われているなら安直に安売りするのではなく、
商品に魅力的な価値を与えてヴェブレン効果を狙ってみませんか。
《売り手良し、買い手良し、世間よし》 まさに三方良しの効果があると思います。
どんな時代であっても顧客心理を考えた売り方は、生き残っていく術のひとつであり
新たな販売促進の発見の糸口だと考えています。
全6回お読みいただき、ありがとうございました。