2021.02.23
経営支援資料館
仕入れ先様との共同ものつくり改革活動とWinWinの強化 第2回 仕入先様に対する、バックアップ体制と支援活動概要
ものつくり110番 改善アドバイザー
吉田 克夫
第2回は、源流保証活動バックアップ(支援指導)体制と、活動概要について説明させて頂く。
バックアップ体制(支援部隊の組織化)
従来、仕入先様サポートは個別組織が行っており、
品質関連は受入検査部門、コスト納期関連は資材部門、技術関連は部品技術部門が窓口となっていた。
課題解決の為には縦割り型組織の他に、部門横断型組織が必要と判断され、
仕入先支援グループが誕生した。
このグループはメーカと仕入先様相互のインターフェース機能も備え、
相互の信頼関係強化にも大きな役割を担うようになっていた。
(メーカに言いにくいことが有る場合、仕入れ先様代弁者になることもあった)
支援部隊(仕入先支援グループ)メンバー構成
仕入先支援グループは当初3名よりスタートしたが、
社内及び仕入先様ニーズが高まり最大27名の大所帯にまで拡大された。
最大時のメンバーは男子22名、女子5名、他に専任講師2名で構成されていた。
専任講師は、品質管理と購買管理の顧問であり、メンバーの育成が主目的である。
支援部隊、メンバー招集方法と出身部署
メンバー収集は、源流保証リーダによる一本釣り、若しくは各部門からの推薦が主であるが、
意外と多かったのは、押し付け型異動であった(年配で反発精神旺盛な方々が異動してきた)。
しかし、即戦力となり仕入先様からの評価が高かったのは、このような方々であった。
年配とは大人と言う事であり、仕入れ先様の立場に立って考え行動が出来、
反発精神旺盛とは、技術力が高く自分の仕事に自信と誇りを持ち、
信念を持って正しい指導の出来ることであった。
これらの方々は、異動元で能力を発揮できる機会がなかっただけのことである。
彼らは退職後、国内海外仕入れ先様の顧問として採用され、今も現役で頑張っておられる方が多い。
当時のメンバー出身部署を下記に記す。
・部品加工技術部門(プレス、モールド、切削、ゴム、ミラー等) 8名
・品質保証部門(受け入れ検査、製品検査) 6名
・組立部門(生産準備、量産維持) 6名
・設備、治具/工具製作部門 2名
・生産管理部門 2名
・IT部門 1名
・庶務 2名
支援者としての資質
誰でもが、仕入れ先様支援メンバーとして第一線に立てるわけではない。
人間として、支援者としての最低限の資質を備えていることが、条件となる。
下記に基本条件を記載する。
・自分の経験と技術技能に自信と誇りを持っている(自信を持って支援指導が出来る)
・仕入先様を尊重できる(なぜ仕入先に 様 をつけるのか?)
仕入先と呼び捨てにすると、自分にエゴが生まれ、仕入先様を見下す感情が生まれる。
仕入先様若しくは仕入先さんと呼ぶことを意識していると、敬いが生まれる。
・仕入先様の相談事、困り事を真摯に受け止めることが出来る(聞く姿勢を持つ)
・宿題事項は必ず納期を設定し、納期前までに回答する(信頼関係)
・接待は受けない
まれであるが、仕入先様トップより担当者を変えてくれとのご提案を頂く事もある。
このような時は、大体が指導者本人に自覚はなく、指導に熱中しすぎている時が多い。
状況を理解し合えば翌日より元の状態に戻っている時がほとんどである。
こんな事を繰り返しながら真の信頼関係が生まれて行くのである。
活動範囲
活動範囲はものつくり全般に渡るが、大きくは定常作業と非定常作業である。
定常作業例・・定常作業とは日々繰り返し的に発生する作業のことを言う。
・社内及び仕入先様困り事に対する相談 (毎日多種多様な相談が舞い込む)
・仕入先様人材育成 (自分たちの分身を仕入先様社内に作る )
・5S改善 (見てくれの5Sから、感動を呼び業績、品質に直結できる5S )
・品質改善 (品質システム導入、再発防止、未然防止、工程監査 等々 )
・工程改善 (現場の全ての3無・・生産性向上、原価改善、経営難脱出 )
・清流化 (仕入れ先様内SCM・・在庫低減、リードタイム短縮 )
・IT (業務の効率化を目的とした、ITツールの導入 )
非定常作業例・・非定常作業とは、突発的に発生する作業の事を言う。
・営業赤字が継続しており、赤字脱却を早期に図る必要がある仕入先様の支援
・緊急倒産の為、緊急金型移管が発生し、金型移管先仕入先様の品質確保支援
・海外仕入れ先様にて緊急問題発生時の海外緊急出張(ものが日本に入ってこない)
・他
第2回はこれにて終了とさせていただきます。