2021.03.23
経営支援資料館
仕入れ先様との共同ものつくり改革活動とＷｉｎＷｉｎの強化 第５回 活動を通じて見えた、東南アジア系仕入先様の脅威と日本企業への提案
ものつくり110番 改善アドバイザー
吉田 克夫
海外仕入先様も多数支援させて頂いたが、活動を通じ見えてきたのは、
東南アジア系仕入先様の活気（脅威）と日本企業の後退である。
日本企業の奮起期待を込めて記載させて頂く。
国内仕入先様の変化
源流保証スタート当時の国内仕入先様は、活動にも前向きに取り組んで頂き、
成果に導くスピードも速かった。
数年前より東南アジア活動を終了し、国内企業様サポートに戻ったが、
目の当たりにしたのは、国内ものつくり意識とレベルの後退だった。
（現場が昔の状態に戻っていた）
「中国仕入先様姿勢と改善事例・・工場全体改革」
中国深圳工場の社長に、
中国仕入先様が毎日問題を発生させ、まともな生産活動が出来ないので支援に来てくれと
声が掛かったのは2000年初期である。
当時の中国仕入先様は、ごみの中で仕事をしているような状態で、
１台のプレスマシンに３人もの作業者が付いていた。
（生産性関係なしで、とにかく作り続けろ体質）
まずモデルを作ろうと言う事で５社を対象にスタートしたが
中国改善責任者は貪欲で、日本人からすべてを吸収しようとする姿勢が伝わってきた。
その後、競うように対象は拡大して行ったが、そのスピードは速く、今も進化し続けている。
下記添付資料はモールド仕入先様の共同改善結果である。
この社は日本の日経ビジネスに掲載され、改善責任者は業績に貢献したことが評価され、
中国人初の現地法人社長として就任した。
中国A社様改善状況
「タイ仕入先様姿勢と改善事例・・品質向上」
タイ仕入先様は、2014年より改善に着手した。
中国初期ほどでないが、やはり現場の乱れている仕入先様は多かった。
救いは管理職の離職率がさほど高くなかったことである。（一般社員の離職率は高い）
管理職は真面目な方が多く、改善目的の理解、推進方法等にも前向き姿勢が見受けられた。
（特に女性管理職のレベルは高い）
タイ仕入れ先様は、再発防止のスピードアップについて紹介させて頂く。
殆どの仕入先様は、LINEを有効的に活用している。
メーカで不良発生するとメーカ担当者より仕入先様にLINEで情報が飛ぶ。
LINEには仕入先様の品質保証、生産、資材、技術金型部門担当者が登録されており、 これらの方々に一斉に同一情報が入る。
仕入先様内では、LINE情報が入った時の部署毎アクション事項が決まっており、
決められたことを確実に実行することにより2.0H以内の再発防止が実現出来ている。
よってメーカより不良連絡が入った時には、再発防止の一次報告が出来る状態になっているのである。不良現物は、当日中に自社に持ち帰り、原因究明と再発防止検証に用いられる。
他にもあっと驚くような仕組みと仕掛けが施されている。
全てにおいて本気なのである。顧客目標達成意欲と責任感は日本の比ではない。
拠点別レベル差異
源流保証では、仕入先様の体質を図る指標がある（品質体質評価）。
下記に直近の拠点別評価結果を記す（拠点別仕入先様平均が、どのレベルにあるかを示している）
レベル高い← 「品質体質評価基準」 →レベル低い
タイ仕入先様の社長が、 売上半減でも利益の出続ける企業を目指している、
と語ったことが耳から離れない。
実はこの社長、工場が狭いと言う事を理由に改善に乗り気でなかったが、
ある改善をきっかけに意識と、話す内容と、行動が変わった。
（面白い事例ですが、またの機会に・・。）
日本企業も今が勝負の時なのかもしれない。奮起に期待したい。
第５回はこれにて終了とさせていただきます。
