2021.04.03
経営支援資料館
仕入れ先様との共同ものつくり改革活動とWinWinの強化 第6回 総括(Win Winの為のメーカと仕入先様のポイント)
ものつくり110番 改善アドバイザー
吉田 克夫
最終第6回は「仕入れ先様との共同ものつくり改善活動について」の振り返りと、
Win Winの強化の為のポイントについて整理する。
ポイント1: 仕入先支援専任部隊の組織化
メーカ視点
仕入れ先様の体質を本気で変えたい、そして強い仕入先様になってほしいのなら、
支援専任部隊を編成されるのが良い。
但しその時どきの環境に合わせて活動内容、体制は変えることはあっても
解散することは避けた方が良い。
過去に一度解散したことが有ったが、解散と同時にQCD結果も悪化した。
すぐに組織再編作業に入ったが、一度崩れたものの再建は困難極まりなかった。
特に人材確保には苦慮し、メーカ本体に適任者が見つからず、
関連会社の中より、適任者確保に努めた(関連会社説得にも苦慮した)
大手企業様も同等組織(機能)を保有している企業は多数ある。
大手家電メーカは、海外に仕入先支援本拠地を置き、海外から日本にノウハウを発信していた。
支援マザーの海外化である。
仕入れ先様視点
仕入先様は、支援部隊のノウハウを遠慮なく活用させて頂く事をお勧めする。
仕入れ先様に成果が出ることによって、Win Winの強化が図れるので、遠慮することはないのである。 国内のある仕入先様は、支援部隊より学んだ品質保証システムを、
自社システムに置き換え運用している。
ほとんどの企業がISOを取得している今、この仕入先様はISOを取得せず自社システムにて
多くのメーカ監査に望んでおり、各メーカもその独自システムを評価している。
また中国仕入先様は、支援部隊より指導を受けた生産方式を、自社生産スタイルに置き換え、 堂々と社内活用と営業活動の武器として使用されていた。
ポイント2:資材戦略とのリンク
メーカ視点
仕入先様に本気になっていただく為の仕掛けとして、資材戦略との連携は不可欠である。
源流保証では、購買の主要サプライヤー制度(QCDE上位でないと仕事が出ない、
逆に上位になれば優先的に仕事が出る)とリンクさせて頂いた。
仕入先様も明確な目標があると精進されレベルアップに繋がる。
仕入れ先様視点
仕入れ先様の中には本制度を社内改革の良き機会と捉え、
常に業種一番を目指した改善活動を 続けておられるところもある。
(業種で一番になれば、主要サプライヤーとして仕事も保証され、信頼性も向上する)
だが最近目にするのは、コスト対応の為に原価割れを起こさせたり、
品質確保の為に、全数検査を実施したり、
納期遅延防止の為に、沢山の在庫を抱えたりしている力づく企業様である。
このような仕入れ先様はもちろん主要サプライヤーとして評価はされない。
今求められているのは危機を好機に変える意識と行動なのである。
ポイント3:人材育成
メーカ視点
最後はやはり人である。
源流保証目的達成の為には、メーカ指導員と同等レベルの人材を、
仕入先様内に育成し、いかに自分の分身を増やしていくかというところにある。
仕入れ先様育成の前に、社内に指導員を作る必要があるが、
方法としては社内教育規定に基づく教育と、専任講師による実践教育である。
源流保証における仕入先様育成プログラムは下記一覧表のようなものであり、
専任講師による育成は1と2である。
3,4,6については、社内規定(座学、現場実践、経験年数及び経験社数)
に基づきレベルを上げて行く。
これらの教育、訓練を経て認定された者が、源流保証指導員として、仕入れ先様の人材育成にあたる。
仕入先様人材育成項目
仕入れ先様視点
仕入先様はこれらの教育指導を無料で受講出来る。
1と2の場合、長期に渡り、時には合宿方式を用い、身につくまで繰り返し訓練が実施される。
修了者には認定書が授与され、認定後定期的フォローアップ研修を重ね独り立ちが出来て行く。
研修終了後は自社内実践で成果を出し、それらの成果はメーカの改善大会及び
全社購買方針説明会等、公の場で報告され優秀仕入先様として表彰される。
学習の成果と満足感を実感できる瞬間である。
具体的内容については、また機会のある時に説明させて頂く。
以上、3つのポイントを押さえ、メーカと仕入れ先様との共同ものつくり改革活動を
すすめることにより、Win Winの強化が実現し、業界トップランナー仕入先群を確保できる。
以上で、仕入れ先様との共同ものつくり改革活動とWinWinの強化
についての説明を終了させて頂きます。
ご確認事項等ございましたら、ご連絡頂けましたら幸いです。
有難うございました。