2021.07.05
経営支援資料館
中小企業こそ、オンライン営業を! 第2回 練りに練った「契約成立」までの流れ
ライター
吉田典史
今回は、2018年に取材した精密機器メーカー(社員数30人程)のオンライン営業を紹介します。
営業部員は部長以下、7人。
営業部員は、従来は対面営業をしていました。
部員がローテーションを組んで近郊の会社のオフィス、工場へのアポイント訪問や
飛び込みセールスをしていたのです。
昨年4月以降は会社や工場への訪問が難しくなったため、オンライン営業に切り換えました。
結果、昨年1年(2020年4月から2021年3月)の売上額は、前年よりも140%増加しました。
1970年代後半の創業以降、こんな売上増はほとんどなかったそうです。
しかも、売上の9割以上がオンライン営業。
さらには、営業部員の会社や工場への交通費、接待費が大幅に減りました。
経費の削減金額は、年間で300万円程にもなったのです。
また、昨今、在宅勤務が推奨される中、営業部員7人と総務、経理の3人の計10人は
現在(2021年5月)も週に2日程、在宅勤務をしています。
オンライン営業を成功させた「契約成立」までの流れ
この会社がオンライン営業を成功させ、
売上を伸ばした契約成立までの流れは次のとおりです。
①自社のホームページとブログへの動線づくり
②お客さんが営業部員にアクセスしやすいような動線づくり
③オンラインで説明するための事前準備
1.自社のホームページとブログへの動線づくり
まず、自社のホームページのブログのページをお客さんの目につくようにしました。
そのブログのコラムに、社長、役員、営業部員が1か月に数回の頻度で
自社の製品について書きます。
分量は1本につき、1500字程。
テーマは、自社製品の特長。特に多くの人が知らないような部分。
できるだけ専門的な内容にして、興味をそそるようにします。
社長は「製品に強い関心を持つ、マニアックな人を対象にしたほうがアクセス数は増えます。
ネット上でもツイッターやフェイスブックで拡散されやすい」と話します。
さらに力を込めて説明したのが、次のものです。
「新型コロナウィルス感染拡大の影響で、WEB展示会が増えています。
WEB展示会で説明されていない部分を、自社のブログに書き込むようにしています」。
WEB説明会で消化不良になり、「もっと知りたい」と不満になっていることを想定し、
それを先回りして書くようにするのです。
2.お客さんが営業部員にアクセスしやすいような
導線づくり
コラムを読んだ人がすぐに営業部員にアクセスできるように、次の2点は念入りに準備をしています。
- 各コラムのページに営業部の直通番号やメールアドレスを載せる
・読んだお客さんが電話やメールで問い合わせをしやすいようにする。
・見落としがないように、毎日全員で共有し、すぐに回答ができる仕組みも作っておく。
2.ブログには、社員の笑顔や楽しそうな雰囲気の画像をたくさん掲載
・ページを見た人がアクセスしやすいように、親しみやすい表情の社員の顔写真を掲載し、
ソフトで庶民的な印象を与えるようにする。
3.オンラインでの説明するための事前準備
上述した2つの仕組みがうまく働くと、
マニアックなコラムを読んだお客さんから電話やメールが来ます。
ここで、営業部員がオンラインツールのZооmに誘います。
オンラインでは、会社案内や製品案内の動画やパワーポイントを使い、説明します。
オンライン営業は、時間との闘いと言えます。
相手との折衝の時間はあらかじめ明確に設定される場合が多いためです。
限られた時間でポイントを押さえ、わかりやすく伝えることが大切。
そこで、説明資料の事前の準備と段取り、リハーサルを徹底することが欠かせません。
ここまでが、契約に結びつける動線(流れ)です。
次回は、オンライン営業が成功した理由についてご紹介します。