2021.11.03
経営支援資料館
会社をひとつにして強くする社員活力創出経営のススメ 第3回 社員の心に火をつける本質価値
オフィスオントロジー
代表 組織活性化コンサルタント 友成治由
わずかな報酬に応募が殺到
100年以上前の南極探検家、アーネスト・シャクルトン卿は、探検隊メンバーを募集する際、
こんな求人広告を出しました。
「男子求む。至難の旅。
わずかな報酬。極寒。何か月にも渡る暗黒。
常なる危険。生還の保証は無い。
帰還に成功すれば、名誉と賞賛を得るだろう。」
我も我もと、若者が殺到したそうです。
「本質価値」は、あなたの会社の社員の心に火をつけます。
社員のモチベーションや能力を引き出し、かつ会社の業績にも直結するキーワード。
それが、「本質価値」です。
本質価値とは何か
本質価値とは、『その会社になくてはならない大切な価値』を言います。
とりわけ「ひと」としての価値。
わたしたちは毎日、さまざまな動機や理由で仕事しています。
いいかえれば、やる「価値」を感じているからそれをやっているのですね。
わたしたちは社長や社員であるまえに、生身の「ひと」です。
「ひと」は、究極的にいえば、幸せに生きたいという本源的な欲求のために動いています。
社長や社員という社会的仮面の奥にある、生身の「ひと」の本源的な幸せに響くもの。
それが「本質価値」です。
前回、経営理念の回で、「ひとの思いの熱の共有」のお話をしました。
なぜ経営理念に、熱を感じるのか。
それはその理念にある「ひと」が本当に得たい本源的な幸せに直結しているからです。
「ひと」が本当に求めているものとは?
本源的な欲求や幸せといえば、単純に考えれば、お金と思いがちです。
もちろん低次の欲求にはそれもありますから、無視はできません。
しかしそれ以上に、ひとは自己実現や他者貢献により大きな幸せを感じる生き物であり、
数々の心理学の研究からでも明らかになっています。
困難なことにチャレンジして達成した時の高揚感。
いい仲間といい関係を築いていけるリラックスした安心感。
自分の得意なことで他人に喜んでもらったときのうれしさ、などなど。
アーネスト・シャクルトン卿は、報酬よりも「ひと」が本当にほしいものを真に理解し、
堂々と若者たちに示したのでした。
ディズニーも「本質価値」をよくわかっている代表的な企業です。
ディズニーランドは、夢と魔法と冒険の王国。
そのファンタジーに魅せられ、「キャスト」は心からイキイキとディズニーの世界観を演じ、
「ゲスト」はその幸せを味わいに何度も訪れます。
なんとリピート率は97%です。
ディズニーの織りなす「本質価値」が従業員とお客様を結び付けているのですね。
会社をひとつにし、成長させるキー
社員は、その本質価値によってその会社でしか味わえない究極の幸せがあるからこそ、
モチベーション高く仕事をします。
お客様は、その本質価値によってその会社でしか味わえない究極の幸せがあるからこそ、
ファンになり、根強く支持し続けてくれます。
B to Cだけでなく、B to B企業でも同じです。
先進性、顧客への情熱、地域への思い、絶対的な信頼、社会インフラとしての誇り…。
思い浮かべるだけで熱を感じる本質価値が社員の心に火をつけ、お客様をファンにします。
あなたの会社だからこそ生み出せる「本質価値」はなんでしょう。
これを失ったら会社の「魂」がなくなってしまうと言えるようなもの。
あなたも、社員も、お客様もその熱が共有できるようなもの。
あなたや社員や顧客が「ひと」として本当に求めている幸せ。
それこそが、あなたの会社をひとつにして、成長へと導いてくれるのです。