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コラム

2021.12.03

中小企業の事業承継

中小企業の事業承継:相続承継と資金

中小企業の経営者の事業承継は、 経営者さんの相続と同時に行われることが少なくありません。

相続に伴う突然の事業承継において資金が必要となる場面には 次のようなものがあります。

  • 事業継続資金の確保(運転資金、従業員の給料、当面の資金)

企業経営における血液ともいわれるキャッシュ(資金)。

相続と事業承継という大きな出来事が一度に起こる後継者にとって
このキャッシュ面にも対応しなければならないとなると大変大きな負担となります。

一般的には半年以上の運転資金があれば、ひとまず安心と言われています。

  • 死亡退職金の支払

資金が必要となるのは、会社だけではありません。

経営者さんを失ったご家族にとっても、
相続における遺産分割や相続税の納付の場面で資金が必要となります。
その際に、経営者に対する死亡退職金を会社から遺族へ支払うことができれば大きな手助けになります。

また、死亡退職金は
支払う法人にとって法人税の損金となる一方で
受取った個人には、一定額まで所得税も相続税も課されません。

そういう意味でも、死亡退職金を支払える資金の余裕をもっておきたいところです。

  • 自己株式の買取り

経営者にとって最も大切な財産ともいえる「自社株」。

これらの評価額が高い場合、
相続や遺贈により取得した後継者が相続税の納税資金に困ることがあります。
その際に会社に資金力があれば、後継者はその自社株を会社に売却することができます。

  • 借入金の返済

中小企業の経営者の場合、経営者個人の財産を担保に会社が借入をしていることがあります。
すると、この借入金を返済するまでは先代経営者の遺産が処分できなくなってしまいます。

特に後継者が相続人でない場合には、経営者の遺族が不自由な状態に置かれることになります。

このように、万一のときに資金が必要であることは間違いありません。

しかし、常に余剰資金を多く保有することは、あまり優れた経営戦略とは言えません。

経営者に万一の事態が起こった場合の事業と相続のシミュレーションにより 現状把握をした上で
小規模企業共済や生命保険といった仕組みをうまく組み合わせて
適切な事業承継や遺産相続ができるよう対策をしていきましょう。

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