2024.11.13
寺尾会計の税務的な毎日
税を考える週間:租税の在るべき姿
毎年11月11日から17日のこの1週間は 『税を考える週間』です。
これは、税の仕組みや目的等、国の基本となる税と税務行政について
国民各層がより能動的に、また、一層深く理解してもらうことを目指して
国税庁が行っている広報・広聴週間です。
国税庁のHPにも、特設ページが設けられています。
https://www.nta.go.jp/about/introduction/torikumi/week/index.htm
このメルマガでも毎年、税の豆知識を紹介しておりますが
今年は、国税庁の産みの親といわれる「ハロルド・モス」についてクイズをしてみたいと思います。
ずばり、国税庁開庁時に送られたハロルド・モスからのあいさつ文はどれでしょう。
①正直者には尊敬の的、悪徳者には畏怖の的
②疑わしくは課税せず
③法律なければ課税なし。租税は、法律の創造物である
④租税制度は、納税者が公平と認めるものでなければならない
⑤合法的な税逃れの方が、脱税よりも租税モラルを害する
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答えは①「正直者には尊敬の的、悪徳者には畏怖の的」です。
昭和24年「国税庁報」の創刊号に寄せられた言葉で、課税庁のあるべき姿が表現されています。
ちなみに、
②「疑わしくは課税せず」は法学者 北野弘久の言葉、
③「法律なければ課税なし。租税は、法律の創造物である」は憲法84条からの言葉、
④「租税制度は、納税者が公平と認めるものでなければならない」と
⑤「合法的な税逃れの方が、脱税よりも租税モラルを害する」は
現在の日本の税制の骨格を作ったカール・シャウプの言葉です。
いずれも租税の重要な在り様を示しているように思います。
現在の国税庁では、その目指すべき姿を「信頼で国の財政を支える組織」としています。
近年の国税庁の取組みには次のようなものがあります。
・マイナンバー制度
・デジタル化
・インボイス制度
これらの取組みの背景には、課税徴収を効率化・高度化し、厳正かつ的確に調査・滞納処分を行うという目的があります。
もちろんこれらの取組みは経済社会の構造の変化に対応するためにとても大切なことです。
しかし、それらの取組みの前提には、
税務行政が豊富な知識や経験、倫理観を備えた税のプロフェッショナル集団であることが不可欠です。
諸々の電子化やデータ収集のための取組みの結果として、
素直で正直者の重箱の隅をつつくような指導や調査が行われないことを切に望みます。
また、
「税のプロフェッショナルであることを前提とする」のは税務行政に限らず、税理士にも当てはまります。
会計処理等の根拠条文や考え方、裁決や判例を知り、常に自己研鑽を積み続けることで
公平で適正な納税の実現を図ろうとする気概が求められます。
国税庁が国民の信頼を集め、税理士が納税義務者の信頼に応えられるよう、
皆様も改めて、信頼するに値する税の本質について考えてみませんか。
参考HP:
国税庁 国税庁の組織理念
https://www.nta.go.jp/about/introduction/shokai/sosikirinen/index.htm
日本税理士会連合会 税理士とは
https://www.nichizeiren.or.jp/cpta/about/