こうすればうまくゆく! 中小企業のIT・システム化
キャリアコンサルティングセンター
代表 小林 順一
第7回 IT・システム化に失敗する外部提携
前回に引き続き、中小企業においてIT・システム化がうまくいかないパターンを、
失敗している会社の例をあげてお話します。
失敗例④ 中小企業の本質を理解しないITサービス会社とのお付き合い
中小企業の本質を理解していないITサービス(情報ソフト)会社とのお付き合いは
やめる方が無難です。
大企業とは違う中小企業の本質とは、基本的に「トップダウン」だということです。
中小企業の社長には
■全ての経営情報を理解するアタマ
■全ての決済を行うアタマ
があります。
このことが分かっていないITサービス会社のSEほど困った存在はありません。
例えば、社長がSEに向かって何かいうと「現場と進めていますから」というのです。
この発言がなされるということは、
業務システムは経営戦略と連動している意味が分かっていないからなのです。
ITサービス会社のSEにしても営業にしても、
顧客会社の担当者だけとしか話が出来ないようなITサービス会社は役に立ちません。
即刻、SEを替えて貰うか、他の会社にすべきです。
なぜそのITサービス会社のSEはそういうことになってしまったのでしょうか。
それはその人のシステムエンジニアという職種にたどりつく前のキャリアや教育が
技術偏重となっているからです。
例えば大学で電子工学をやってきて、入社後はプログラミングをやり
社内教育ではソフトウェア研修だけを受けてきたというのがその典型です。
そこに肝心の経営・管理のセンスを身につけることが抜けてしまっているのです。
その他にこんなITサービス会社とはつき合うべきではありません。
それは
■汎用ソフトを導入する場合、そのITサービス会社自身がそれを使っていない。
■社員教育に全く力を入れていない。情報関係の資格取得を奨励していない。
わたしも以前、大手コンピュータメーカーにいてSEをやっていましたが
顧客に使って戴く汎用製品はお売りする前に自社で徹底的に使い込みました。
この経験が顧客の信頼を得た最大の理由だと今でも思っています。
失敗例⑤ 得意分野の異なるITサービス会社とのお付き合い
業務システムは、それぞれの分野で多くのノウハウが詰め込まれてあり
内容が大きく異なります。
例えば、会計システムと販売システムは大きく違うし
管理システムにあっては、またまるで違います。
ましてやWeb(インターネット)関連のシステム構築は全く異なる分野です。
それぞれのシステムはITサービス会社(ソフトハウス)によって得意、不得意があります。
例えば「A社は会計システムには強いが、Web関係はまるでだめだ」という風にです。
この得意分野と合致するITサービス会社を選ばないととんでもないことになります。
ここに今までのやり方の改革の余地があります。
特に経営戦略に立脚したIT化の推進というテーマになると
それにふさわしい人材を揃えたところでないと後々痛い目に逢うことになるのです。
技術的問題だけではありません。
納期意識に疎い会社に発注してしまったら、これも大きな痛手になります。
特に顧客に影響するWeb関係のシステムにおいては目も当てられません。
以上7回にわたって
<こうすればうまくゆく! 中小企業のIT・システム化>
と銘打って述べさせて戴きました。
この中で何か一つでも、参考になることや、気づきがあったら
筆者として、これ以上の喜びはありません。
毎回、熱心にお読み戴いた方々に深く御礼申し上げます。
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