A4用紙2枚から始める【事業計画書作成講座】

経営コンサルタント

平野貴之

第3回 A4用紙2枚の事業計画書には何を書くのか?

 

前回までで、

事業計画書の作成のハードルを下げるために「A4用紙2枚からの作成しよう

という意味は、理解いただいたと思います。

A4用紙2枚、事業計画書の骨格

では、

そもそもA4用紙2枚に何を書くのか?」と言うのが疑問に思われかもしれません。

 

A4用紙2枚で詳細までは伝えられないにしても、

会社の全体像、骨格を伝えることは必要です。

 

エレベータースピーチという言葉があります。

 

「エレベーターの中で、銀行員や投資家に会った時に

エレベーターに一緒に乗っている1分くらいの短い間で、

どれだけ効率よくプレゼンが行えるか」と言うものです。

 

「説明が長すぎてはエレベーターが到着してしまい、チャンスを逃すし、

短すぎれば魅力が伝わらない。よって、普段から、自社の魅力を簡潔に伝えるように

準備していくべき」という例え話がエレベータースピーチなのです。

 

A4用紙2枚も同様です。

単純に枚数を減らしたがために内容が伝わらない事業計画書では意味がありません。

詳細までは書いていないけれど、全体像、骨格は書く必要があるのです。

 

つまり、

コンパクトにまとまっているだけで、そのA4用紙2枚の事業計画書を見て、

「経営者自身、従業員が行動に移すことが出来る」

「銀行や投資家にその会社の将来像が伝わる」必要はあるのです。

A4用紙2枚、事業計画書の1枚目と2枚目の具体的な記載内容

A4用紙2枚の1枚目には、

  • 会社の全体の方向性を示すもの(経営理念、ビジョン、社長の想いなど)
  • ここ数年(5ヶ年)の方向性を示すもの(経営戦略
  • 具体的な行動計画(経営戦術

を書きます。

 

そして、2枚目に、

  • 5ヶ年の予想損益計算書(数値計画)

を書きます。

 

単純化すると

「経営理念⇒経営戦略⇒経営戦術⇒5ヶ年の予想損益計算書」の流れです。

 

経営理念や経営戦略と言う言葉がイメージ付きにくいのであれば、

「社長の想い・全体の方向性⇒5ヶ年の方向性⇒1年の行動計画⇒5ヶ年の予想損益計算書」

と置き換えて考えても良いです。

A4用紙2枚、事業計画書からスタート

これで、「行動できる事業計画書」「資金調達に使える事業計画書」が出来ます。

もちろん、これがスタートですので、作成して終わりではありません。

 

「まずA4用紙2枚で作成してみる」のが1年目として、

年度には、計画と実績を比べて、どのくらい実行できたかを振り返ります。

 

それによって、A4用紙2枚の事業計画書をそのままの枚数で内容を練り直す場合や、

不足部分があれば、それ以上の枚数で事業計画書を作成する場合など、

毎年、徐々に精度を高めて行くべきなのです。

 

一年目の「A4用紙2枚の事業計画書」は、あくまでスタートだからです。

企業規模が大きくなっても、A4用紙2枚の事業計画書は必要

ここで、疑問に思われる方もいると思います。

 

「自社は、すでに何十枚にも事業計画書を作っている」とか

「事業計画書を作ってみたら、自社の場合は、最初から何十枚にもなった」という場合

です。

 

「A4用紙2枚の事業計画書は必要ない」と思われるかもしれません。


でも、

多くの事業計画書を見たり、上場準備企業などで作成をしたりした経験から言うと、

膨大な量の事業計画書ほど、A4用紙2枚にまとめることが必要になります。

 

なぜなら、
膨大な量の事業計画書の要約をA4用紙2枚程度にまとめる必要があるからです。

 

事業計画書が膨大になればなるほど、

読み手(経営者自身、従業員、銀行、投資家等)が読みきれなくなります。

これでは、「行動できない」、「伝わらない」事業計画書となってしまいます。

 

そこで、要約が必要となるのです。

その要約が、まさにA4用紙2枚の事業計画書と同様の内容になるのです。

 

よって、これから事業計画書を作成しようとする企業にとっても、

何十枚の事業計画書を作成している企業にとっても、

A4用紙2枚に事業計画をまとめることは良い事なのです。

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