一度は聞いておきたい!どうする?どうなる?マイナンバー
寺尾会計事務所
税理士 寺尾省介
第5回 マイナンバー制度の安全性と注意するポイント
最終回は、
マイナンバー制度の安全性と利用者が気を付けなければならないポイントについて
お話しします。
日本は先進国の中でも番号制の導入は遅いほうなので、
他の国の失敗事例を参考にして、リスクを避ける制度が構築されています。
マイナンバーの収集・保管の禁止
・法律に定めがある場合を除き、マイナンバーの収集・保管を禁止しています。
法律に定めがある場合は、
当面、社会保障・税・災害対策の3分野において行政が取り扱う書類へ記載する場合です。
ですから、訪問販売などで、マイナンバーを収集されることはないわけです。
なお、誤って自分のマイナンバーを提供してしまっても、罰則はありません。
本人確認の徹底
・なりすまし防止のため、
マイナンバーを収集する際には、本人確認が義務付けられています。
ですから、電話でマイナンバーを訪ねるなど、
本人確認をせずにマイナンバーを収集しようとすることはありえないわけです。
第三者機関による監視
・マイナンバーが適切に管理されているかを、
特定個人情報保護委員会という第三者機関が監視・監督します。
「特定個人情報」とは、
マイナンバーと個人を特定できる情報(氏名・住所・性別など)をいいます。
罰則の強化
・法律に違反した場合の罰則を、従来に比べて強化しています。
例えば、特定個人情報等を不正に漏えいしたものに対する罰則として、
4年以下の懲役または200万円以下の罰金や、
使用者等に対する監督責任を怠った法人等に対する罰則もあります。
情報の分散管理
・個人情報は従来通り、分散して管理します。
例えば、年金情報は年金事務所、税の情報は税務署が管理します。
分散管理により、芋づる式の情報漏えいを防ぎます。
情報の連携時のシステム
・行政機関間での情報のやり取りには、マイナンバーを直接使いません。
また、システムにアクセス可能なものを制限・管理し、通信する場合は暗号化します。
マイナポータルの稼働
・情報提供等記録開示システムとして、マイナポータルが稼働される予定です。
これによって、マイナンバーを含む自分の個人情報をいつ、だれが、なぜ提供したのか、
不正・不適切な照会・提供が行われて否かを自分で確認できるようになります。
自宅から利用するためには、
インターネット環境、個人番号カードとICチップリーダーが必要になる予定です。
相談ダイヤル、紛失・盗難対応ダイヤル
・マイナンバー制度に関する不明点はコールセンターで確認することができます。
(0570-20-0178)平日は22時まで、土日祝日にも対応しています。
万一、紛失・盗難にあった場合には、24時間365日、専用ダイヤルで対応します。
これだけは気をつけましょう!
こうして制度は整っていても、不注意などで個人情報が漏れてしまうこともあります。
ですから、最後に個人として何に注意すれば良いのかをお話しして終わります。
- マイナンバーを不用意に教えないこと
- 通知カードを持ち歩かないこと(落としたら、すぐにコールセンターへ)
- マイナンバーの利用目的・法的根拠を聞くこと
- よくわからない疑問点があれば遠慮せず、行政機関に相談すること。
- マイナンバーを求める場合は、必ず本人確認が必要ですから
面倒でも顔写真入の運転免許証や個人番号カードなどを提示するようにして、
なりすまし防止すること
すでに不審な電話や訪問が報告されていますが、
税務署や市役所の担当者が電話や自宅訪問をして個人番号・個人情報を尋ねることや
金銭を要求することはありません。
まだ始まったばかりで、どれほど便利になるのか、どれだけリスクのある制度なのか、
はっきりしたことはわかりません。
マイナンバーは国による資産・所得管理や、その他の心配・懸念も言われていますが、
これまでの日本の社会基盤が大きく変わることになります。
ニュースを確認して、今後の動向に気を配っていきましょう。
[完]