在庫問題を考える
在庫管理コンサルタント
豊口幸久
第3回 何故在庫が増えるのか ~在庫管理編~
先回、在庫にはLT在庫と安全在庫があること、理想のLT在庫数は0ヶであること、
生産・売上見込みに変動がない場合、安全在庫も0ヶであることをお話ししました。
それにも関わらず在庫が増えている要因は、一般的に次の4つである事が多い様です。
- 必要な在庫と不要な在庫の識別が出来ていない
→ 在庫の種類と数量に対し、明確な管理資料が策定できていない - 外部要因で不足すると困るので、ともかく持っておく
→ 要求から入手までのLTが明確でない(守られない) - 不足すると大変なので、ともかく持っておく
→ 担当者が自分を守ろうとする - 注文/売上/販売の増加見込みが当たらない
→ 見込みの立て方がうまくいかない
今回は1と2の在庫管理に問題がある場合について見ていきましょう。
1.必要な在庫と不要な在庫の識別が出来ていない
現状の在庫が必要な在庫なのか?何の為に有るのか?
これを明確にする事が在庫削減の第一歩です。これだけでも、相当な改善が図れます。
納入業者からの部品供給が1週間単位だとします。
この場合、必要な在庫は、最大1週間分のLT変動分の在庫であり
1週間以内に使わない部品や数量は、過剰となります。
とはいえ、実際には、在庫を保有すべき理由が多々あると思います。
ですから、ここで大切なのは、
部品毎に在庫の種類と数量に対し、要否が識別できているかどうかです。
そして、会社が必要と認めた在庫については、その根拠が明確になっているかどうかです。
根拠が明確でないのに在庫として所有している部品は過剰です。
この過剰部品は、いつまでに改善されるかが重要になり、
次期手配の抑制又は他製品での流用等が対策案となります。
この在庫の種類と数量の要否と、その根拠を明確に記した管理資料が無いと
在庫削減を先に進める事は出来ません。
これが、不明確なまま在庫削減を行っても、表面的/一時的な改善になります。
2.外部要因で不足すると困るので、ともかく在庫を持っておく
入荷までのLTが明確でなかったり、守られない場合、
現品が不足すると困るのでともかく在庫を持っておく、安全在庫を増やす、となります。
ですから、
どの位のLTで現品が入手出来るか? いつも同じLTか?
これを納入先と明確にするのが最も重要です。
まず過去の実績から、部品別LTを洗い出す事から始めます。
その後、分析したデータを基に、納入業者と改善へ向けた協議が必要となります。
この時の大きな課題は納入業者にとってもメリットがある提案が出来るかどうかです。
いつ何個必要かの事前提案もなく、
毎回「すぐ持って来い。その為の在庫をしておけ」では、
その時はLTを約束しても、結果として守られないと覚悟すべきです。
最低「発注時期と数量と規模」がわかることは、納入業者にも有用であると考えます。
ですから、例えば、
毎週25ヶの発注を今後3ヶ月行うので、納入LTのバラつきを無くして欲しい。
または、最大5ヶ増加する可能性があり、対応出来る様準備して貰えないか。
というような提案をしながら、LTの協議を行うことになります。
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