中小企業の提携戦略
さくらマーケティングサービス
西原弘之
第2回 提携の肝はココにあり
「そんな時代の中小経営者の仕事」
「利益を上げて、社員の暮らしを守り、企業の継続を確実にしてゆく」
これが経営者の仕事です。
そのためには手段を択ばない、これが正しい姿だと思います。
利益を上げることが経営の正義であるという強い決意があるのであれば、
ご賛同をいただけると思います。
この「手段を択ばない」という戦略の中で、
事業提携、企業連携、といった言葉が当たり前のように使われる時代になりました。
大手企業、特に金融関係企業の合従連衡は目の当たりにしている事象でもあります。
これは生き残るために必要な知恵であり、
経営者がそのような提携や連携を探ることは有能な経営者としての姿勢でもある、
そういう時代になりつつあります。
パソコンをはじめとするITツールが浸透して、
パートナーを組むための実務上のハードルが下がってきたこともあるでしょう。
いまの時代の経営者はそこに着眼することも有能の証でもあると思います。
「提携の意義」
自社の強みを研ぎ澄ます「攻撃」と、自社の弱みを埋める「防御」。
この二つを同時並行して中小企業が自社だけの投資で行う事は
資金や時間、人的資源の面で現実的ではない場合が多く、
仮にやったとしてもかなりの時間がかかることが予測されます。
その時間と資金と資源を最小化して果実を得ることが提携戦略の肝なのです。
その提携戦略で貴社が手にできるのは、大きく分けると以下の3点に集約できます。
- 事業成長までの最短距離を走れる
経営資源を端的に「ヒト、モノ、カネ」といいますが、
これを全部自前で投資すれば当然とてつもない「時間」も必要になります。
最短時間で最大効果を上げるためには
これらの要素を互いに利用しあえる戦略パートナーが要ります。 - 重複投資を避けて利益性を確保できる
「車輪の最発明」という言葉をご存知でしょうか。
(ご存じない方は検索してみてください。)
他社がヒト、モノ、カネを投下してようやく成しえたのと同じことを自社で一から
やろうとしたら、これはわざわざお金と時間をかけて他社がしてきたのと同じ苦労を
しに行っていることになります。
他社が苦労して成しえたものは、いっそのこと仕入れてしまえば
開発コストゼロで、かつ、リスクなしで、その成果物を手に入れることができる
という事です。利益に大きく貢献するポイントなのです。 - 社員に希望を持たせることができる
中小企業の社員が大手の社員と大きく違うところは、
社員の会社への自負心と将来への希望です。
「うちの社員は誇りと希望を持っている」と胸を張って言う中小企業経営者もいますが
サラリーマンの心情にもっと敏感になったほうが良いでしょう。
提携を通じてより会社が大きくなり強くなれば、
よし我々もいけるぞ、という志気が出てきます。
小手先の待遇改善よりも社員をつなぎとめる武器になる事でしょう。
「提携と将来展望」
さて、皆さんの中には、他社に出しても良い部分として、手の部分の作業工数、
これをすでに外注化しておられる方もあるかと思います。
しかし、外注と提携では、ビジネスモデルが異なります。
外注(アウトソース)とは、その名の通り「外部への発注」をいいます。
手の部分を助けてもらう、つまり時間を買う行為でして、一方通行の依頼です。
お金でカタがつきます。
一方、提携とは、手だけでなく頭をシェアする、双方向の共存関係です。
共存関係なのでお金で簡単に切れたりしません。
今回考えていただきたいのは
自社でやらなくても良いものに大胆に切り込んで外注化する、
あるいは更に踏み込んでより深い提携関係にすることで
事業シナジー(相乗効果)を得る可能性を探ってみることです。
ビジネスの役割を分担して、
相互の強みと弱みを互いに補完できるような提携パートナーを作ること。
これはうまく軌道にのれば経営者が得られる安心感は小さくありませんし、
内容によっては将来展望が開けてきます。
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