日本経済新聞を上手に読む方法

帝京大学経済学部教授
山本 博幸

掲載日:令和元年10月11日

第5回 「ナニコレ」リストを作る

変な言葉を見つけよう、

辞書にも、ウィキペデアにもない言葉であれば、最高のナニコレです。

 

最初に聞いたとき、「ナニコレ」と思う言葉が時々あります。

これをどう料理するかが、株式投資でも生死を決めます。

1970年代のナニコレ?

実際にこれだけでお金持ちになった人がいます。

例えば、1970年代、日本は鉄鋼造船など重厚長大が基幹産業であった時代に、

「産業のコメ」という言葉が登場します。

 

僕が、産業のコメという言葉を聞いたのは1976年だったと思います。

手帳に書いたので、間違いないでしょう。

疑問に思ったから手帳に書いたのです。

なんだかよくわかりませんでしたが、なんとなく新しいことが始まる予感がしたのです

 

今考えれば、江戸時代のお米と同じように、現在あらゆる分野に浸透し、

これがなければ夜も日も明け暮れしないというものなのですが、

当時は想像もできませんでした。

 

答えを言いましょう。

「産業のコメ」とは半導体なのです。

 

この「産業のコメ」が産業界の中心になるぞといわれたのは、1970年代です。

それを作る会社は途方もない利益がでるぞというメッセージだったのです。

これを株式投資に生かせばひと財産できたことでしょう。

 

例えば、塩化ビニールのパイプメーカーにすぎなかった信越化学は、

いち早く半導体を乗せるシリコーンウエファーのビジネスに成功して、

株価は数十倍になっています。

1990年代のナニコレ?

もう一つ例をあげます。

今から20年くらい前、ユニクロという言葉を初めて新聞で見かけました。

何のことか意味不明なので、やはり手帳にメモしています。

 

その後、テレビ宣伝が開始され、SPA(製造小売り)という言葉と共に、

ユニクロは日常生活に入ってきました。

現在では、自分で着る衣料品の多くはユニクロ製だというひとが多いことでしょう。

UNIQLOブランドは世界中で隆盛を極めています。

 

最初に、気が付いた時に株式は広島証券取引所に上場していただけでした。

さっさと会社を調べて投資すれば、億万長者になっています。

 

ことほど左様に、聞いたことがない珍しい言葉は宝の山なのです。

 

例えば、手帳になんか変だなという言葉をメモって、調べる習慣ができれば

たいしたものです。

この一年でも、変な言葉がいくつかあります。

僕もいまだにこっそりメモしています。

 

皆さんも、ワンラウンド日経新聞の読み方を学んだ後、

ナニコレ・リストを作ってみましょう。

将来お金のなる木が手に入るかも知れません。

 

第6回に続く

 

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