「論語と算盤」を現代の経営に活かす!
ほめる人間力研究所
渡辺洋之
掲載日:令和2年1月23日
第3回 能弁よりも行動を
現代社会では、自分自身を強くアピールすることが大切だ!と言われています。
さあ、「論語」ではどのように語られているのでしょうか。
第三回目は 「能弁よりも行動」をという題で孔先生の教えを読んで参ります。
子曰わく、君子は言(げん)に訥(とつ)にして、
伊與田覺先生の解釈です。
先師が言われた。「君子は、たとえ口は重くても、行いはきびきびしようと思うものだよ」
「訥弁」(とつべん)という言葉があります。辞書には
- 話が下手なこと
- 口下手
- つかえたりして、なめらかでないへたなしゃべり方 とあります。
先生は、組織のリーダーは「立て板に水」のような雄弁家でなくともよい、
ただ、行動は迅速でありたいものだ。と言われています。
論語をビジネスに読み替えると・・・
皆さんの周りにもいらっしゃいませんか。口数少なくコツコツと行動して、
下に付くメンバーが、思わず一緒に行動してしまうようなリーダーが…
人を動かすことは大変なことです。
口先だけで厳しく指示や命令を出せば、チームは動くかもしれません。
しかしそこに「納得」は生まれないのです。
自分は動かず、口先だけで部下を動かそうとするリーダーの部下達の心は、
最終的には離れて行ってしまいます。
メンバーを「納得」させるには、自らの行動や態度で示していく必要があります。
課題に対してリーダー自身が素早く行動し、汗を流している姿を示せば
そこにメンバーたちの、行動に対する「納得」が生まれるのです。
ですから、リーダーには「口達者」よりも「行動と実践」が求められるのです。
リーダーの心得
さあ、あなたはどちらのタイプのリーダーでしょうか。自分自身を振り返ってみましょう。
「言葉が軽い」と思う方は、「言葉を慎む」努力をしましょう。
「行動が遅い」と思う方は「敏速に行動」する習慣を付けましょう。
そして「言行一致」のリーダーを目指しましょう。
里仁篇 読み下し文
子曰わく、君子は言(げん)に訥(とつ)にして、
行(おこない)に敏(びん)ならんと欲す。
語句解説
- 君子 :理想とする人物
- 言 :発言
- 訥 :言葉を慎む 木訥
- 行 :具体的な行動
- 敏 :行動がきびきびと早いこと
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