できる人の仕事ぶり、改善の在り処を探る ~あきらめない職場づくり~
株式会社エフェクト
石井住枝
上司のサポーターとなるために
2段階上の視点
トヨタでは、「必要とされるプロの仕事には、信頼を得るブレーンになる必要がある」
そして、「2段階上の役職のつもりで仕事をこなす」と言われました。
2ポジション上に出世したつもりで俯瞰してみると、
仕事を集中して仕上げる自分軸の視点でなく、
少し離れた立場で全体を管理する気持ちで仕事ができます。
今、何をやらなければならないのか、チームのために何をすべきか、という
必要な事が見えてくるものです。
忙しい毎日が続けば、自分の担当業務で精いっぱいになってしまいがちです。
しかし、同僚との連携や引き継ぎがスムーズにいかなければスケジュールに支障が出て、
余計な時間がかかってしまいます。
そこで2段階上の視点になることが活かされます。
例えば、「今作っている資料は、上司はどこでどんな風に使うのだろうか。」と考えると
単なる言いたい事を伝える資料作成でなく、
短時間でわかる図、表を入れ、文字を大きく、ポイントを強調して・・・と
工夫して仕上げる必要があることがわかります。
この目線は、上司をサポートする上でとても有用です。
なかなか、出世はできませんが、
気持ちだけでもポジションを変えて仕事に取り組むことで、
今の仕事のやり方が変わってくると思います。
秘書の視点
秘書は、上司のスケジュールを確認している上に、
チームが抱えている案件、個性や遅れなど把握できます。
指示を出す側、受け取る側の双方の立ち位置を確認しながら仕事ができる立場である
といえます。
しかし、秘書が上司の顔色ばかりを気にして、上司のサポートに徹してしまえば、
トラブルが起こった際、一部に責任追及や滞りが発生するなど、
チーム全体の士気に影響することになります。
例えば、上司から「○●の件 どうなったかなぁ」と言われて
「担当の●●さんは、本日は出張だそうです」という動きだけでは、
伝言板のような役割でしかなくなってしまいます。
しかし、事前に締め切り順に進行状況を確認しておくことができれば
「あの件はどうなったかな」と言われた時にでも、
「本日は急な出張に出かけられましたが、そのフォローは△さんが進行中で、
もう少しでできあがるとのことです」と答える事も可能です。
また、万が一、忘れていた案件であっても、
秘書というポジションが会話でワンクッション置くことで
穏やかな対応になることもあります。
「私が締め切りを間違えてしまって、明日にはできあがる予定です。」
「本日は●●案件でお忙しいようです、明日、私の方でフォローしておきましょうか」
秘書が忘れていたことにするなど、
時間猶予が許されるものであれば、そんな計らいをしたこともあります。
パソコンに頼りすぎない進捗管理
今は、パソコン上で進行管理が増えていると思いますが、
チーム全体で仕事の成果をあげる立ち位置での進行管理はパソコンだけではできません。
パソコンでの管理は、進捗を一度に確認できるので、進捗管理や忘れ防止に便利ですが、
ケアやサポート、事前に問題を検知し動くということはできません。
システムを頼り過ぎず、道具として使いこなすことで、
信頼を勝ち得るブレーンの仕事につながります。
人と人のつながりを見直す
隣や同じプロジェクトメンバーの仕事の進捗やフォローを
メールでなく、会話で相手の表情を見ながら話すことで、
忙しさや余裕、体調など察することができるはずです。
以前は当たり前に行ったことでも、便利な道具のおかげでおろそかになっている事、
仕事を非効率にしている事がありませんか。
スケジュール入力の時間、資料作成に多くの時間を費やしているのであれば、
一度見直してみることも必要ですね。
成果を上げているプロジェクトは、単に効率良いだけでなく、知恵や工夫が入り、
深く、何度も議論されているからこそいいものになっていきます。
人と人のつながりを大切にすることなしには生まれてこないものです。
きちんと顔をみて会話ができる人財を育成することで、
会社の業績向上に大きな効果がでるはずです。
素直で明るく元気な方をブレーンに育て、企業の戦力にしてくださいね。
次回は、「リスクマネジメント」をお伝えします。
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