知らなきゃ損する知的財産権のノウハウ
弁理士 富澤 正
第2回 どんなものに特許権が認められるのか ~特許権の対象~
特許権が認められる条件
商品に特許○○号と書いてあると何やらすごい商品のような気がしませんか?
特許登録を受けることは、すごいことだと思います。
それは、世の中にない新しいものを作り出したということだからです。
特許は世の中にない新しいアイデアを生み出した人に与えられる権利です。
ここで「新しい」というのは、今まで世の中にないことが必要です。
この条件が意外に難しいです。
「商品を売り出したらすごい売れるんです!この商品の特許取りたいんだけれど」
と特許事務所にいらっしゃる方がよくいます。
ですが、世の中にないことが必要です。
そのため、特許は原則として販売した後のものについては権利を取れません。
売れるかどうかわからない状態で特許出願をしなければいけないので、
特許は「宝くじ」と同じだともいわれます。
商品が当たるかどうかわからない状態でもお金をかけて出願しないと
あとで泣いても二度と買うことができないということです。
また、他の人が簡単に思いつかないほどその発明が難しいことが必要となります。
簡単にできるものに特許権を認めると周りの業者に与える影響が大きいためです。
さらに、誰よりも早く出願する必要があります。
他の人が同じ発明を出願した場合には早い者勝ちで、先に出願をした人が登録を受けます。
特許権を取ろうとすると、
誰よりも早く出願しなければならず、
しかも世の中にないもので難しいものでなければいけない!ということです。
特許権が取れるかの難しさは分野によって違う
特許ってやっぱり難しいものだと思いませんでしたか?
でも、特許を望んだ出願のうち40パーセント程度は登録されます。
40パーセントが多いかどうかは人によると思いますが、かなり多い数だと感じます。
また、特許は分野によって難しさの基準も大きく違います。
例えば、古い特許になりますが、世の中には、「たこ焼き」の発明があります。
たこ焼きでも特許が取れるんです!!
どんな発明か簡単に解説すると、
「溶いた小麦粉中に桜海老の粉末を小麦粉に対して3~7重量%の割合で混ぜ合わせた
たこ焼き」
この発明により、たこ焼きはピンクの色をしておいしそうに見えます。
また、桜エビの粉末が入っているためエビの味がしておいしいです。
・・・確かに古い特許ですが、
桜エビの粉末の量を限定することで、たこ焼きの発明でも登録がされています。
特許は分野によって特許の難しさという基準が大きく違うのは事実です。
この基準を判断するのは特許庁になります。
弁理士なら、精通した分野であればある程度は予測がつきますが、
それでも、完全に予想するのは難しいです。
それくらい特許になるのかどうかの判断は難しいです。
ただ一つ言えるのは、どんな成熟した分野であっても
新しいアイデアであれば特許を取得することは十分に可能です。
特許権はチャレンジしなければとれません
そのため特許を取りたいと考えた場合には、
慎重に調査をすることも必要ですが、チャレンジしてみるのも一つの手段だと考えます。
特許の可能性を上げるとすれば、
それはアイデアをより具体的にすることです。
具体的に商品に近ければ、その中にはアイデアが多く含まれることになります。
たくさんのアイデアが含まれていればそれだけ新しいものが増えます。
新しいアイデアをたくさん含んでいれば特許庁が認めてくれる可能性が増えるからです。
ぜひ特許出願をするときにはより具体的にして、
新しく難しいものを先に出願することに気を付けましょう!
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