知らなきゃ損する知的財産権のノウハウ
弁理士 富澤 正
第3回 どんなものに商標権が取れるのか ~商標権の対象~
商標の機能は目印力!
世の中には、いたるところに商標があふれています。
看板、雑誌、靴、服どれを見てもほとんど商標がついています。
なぜ、こんなに商標であふれているのでしょうか?
例えば、名古屋に「赤の他人」という赤みそ風味のクッキーがあったとします。
「赤の他人」のクッキーは名古屋の会社であるコスモス製菓が作っていると仮定します。
このクッキーに「赤の他人」と名前を付けているのはなぜでしょうか?
あなたが名古屋に旅行に行ったとき、家族に「赤の他人」のお菓子を頼まれたとします。
そうすると、
あなたは名古屋駅の新幹線の売店で「赤の他人」の商品名が入った商品を購入します。
このとき、あなたは「赤の他人」という名前を見て商品を手に取っています。
「赤の他人」という名前は他の商品とを区別するための目印の役目を持っているのです。
他の人が同じ名前を使うと間違える
ここで、もしも、コスモス製菓の商品以外に
「赤の他人」という名前が付けられていたらどうでしょうか?
家族はあの「赤の他人」を買ってきてくれることを期待しています。
また、商品を手に取ったあなたも当然あの「赤の他人」と考えて
商品を手に取っているはずです。
このときにコスモス製菓かどうかを確認して
商品を手に取る人はほとんどいないと思います。
それは、「赤の他人」という名前が付けられた商品が他にはないと思っているからです。
「赤の他人」という名前は目印であり、
あの「赤の他人」であるという安心感を与えているのです。
そのため、あたなは「赤の他人」という名前(目印)に従って商品を購入すれば、
あの「赤の他人」を購入することができるのです。
そこで、商標法は、目印としての機能があるものに商標登録を認めています。
目印にならないものは商標登録できない
反対にいうと目印とならない商標は登録がされません。
よくお客さんが持ってくる商標で多いのが一般的な言葉で
商品そのものを表すような商標です。
例えば、消しゴムに対して「よく消える消しゴム」という商標登録は認められません。
それは誰もが使いたいものであり誰が使っている商標か目印とならないためです。
一般的な言葉で権利が取れればそれほど強いものはありませんが、
残念ならが法律上、商標登録を取ることができません。
あと、他人の商標と同じ又は似ている商標は登録されません。
それも同じ理由で目印とならないからです。
それから、同じ商品に同じ商標がついている場合があります。
それは偽物の商品やバッタものといわれるものです。
偽物やバッタものの商品は同じ商品で同じ商標がついていると
本物かどうか見分けるのは難しいです。
そのため他人の目印としての機能をなくしてしまうため
商標登録を認めていません。
みなさんもお使いの商標が登録できるのかどうか一度
調べてみてはいかがでしょうか?
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