知らなきゃ損する知的財産権のノウハウ

弁理士 富澤 正

第5回 加圧トレーニングはなぜ高いのか~知的財産権を使ったビジネスモデル~

知的財産権の独占権を使ったビジネス

特許権や商標権の魅力は何といっても独占できることです。

日本では自分以外に同じ商品を作ることができなくなるのです。

 

知的財産権を持つと権利者は独占権という利益を受けることができます。

独占権の利益を使うと、強いビジネスモデルを作ることも可能です。

 

独占できることをうまく使ったビジネスモデルを作った企業として、

加圧トレーニングを流行させた加圧ジャパンという企業があります。

 

加圧トレーニングの料金を知っていますか?

 

私が参加したところでは1時間1万円以上しました。

通常の筋力トレーニングと比べるととても高いかと思います。

しかし、高くても加圧ジャパン認定のトレーニングスタジオに行かなければ

加圧トレーニングを行うことはできません。

 

それは、加圧ジャパンが加圧トレーニングについて

特許権を持っているからです(特許第2670421号)

 

加圧ジャパンが認定していないトレーニングスタジオで加圧トレーニングを行うと、

トレーニングスタジオは特許権侵害として訴えられます。

 

また、最悪の場合にはその無許可のトレーニングジムは

損害賠償金を支払わなければならなくなります。

 

そのため、

加圧ジャパンが運営するトレーニングスタジオ以外では加圧トレーニングを行えず、

高い料金設定でも加圧ジャパンの運営する加圧トレーニングに行くしかないのです。

特許権・商標権を絡めたビジネス戦略

ですが、その加圧トレーニングの特許権も実は昨年11月に権利が切れました。

特許は最長20年です。

 

しかし、これだけ知的財産権に力を入れている加圧ジャパンです。

 

特許権が20年で切れた場合の先まで見越しています。

 

加圧ジャパンはブランド価値を維持するために

「加圧トレーニング」の他「加圧ヨガ」「加圧カラテ」など

合計30個以上の商標権を抑えて、ブランドをコントロールしています。

 

特許権は20年間を経過すると権利は切れますが、

商標権は更新し続けることで、永続的にブランドを守ることができる点で有効です。

 

そのため、加圧ジャパンは特許権が切れたときに備えて

商標権を数多く取得していたのではないかと思われます。

知的財産権があるから売れるのではなく商品がいいから売れる

もちろん、加圧トレーニングは、ビジネスモデルもさることながら、

短い時間で体の引き締め効果を出すというトレーニング自体も優れているようです。

 

加圧ジャパンが加圧トレーニングについて特許権を持っていたとしても、

加圧トレーニング自体がいいものでなければ高い料金を払って受講する人はいません。

 

また、マーケティングなどのCMも上手で、

芸能人などに使ってもらうことで知名度を上げていきました。

 

特許権や商標権を持っているからといって、商売がうまくいくわけではありません。

しかし、特許権や商標権を持っているからこそできる商売もあるのです。

 

以上、5回にわたって特許権と商標権についてお届けしましたが、いかがでしたでしょうか?

知的財産権は決して大企業やエジソンのような発明家だけに与えられるものでないのです。

知的財産権を活用して、より強い企業にしていきましょう。

[完]

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