資金調達したい経営者のための【銀行対応入門講座】
経営コンサルタント
平野貴之
第6回 今後の銀行との上手な付き合い方
最後に、今後の銀行との上手な付き合い方をお話していきます。
最近の金融情勢とは?
その前に、現状の銀行の状況を少し話します。
資金調達が出来ない厳しい会社は、
月々の返済額を減額や猶予するリスケジュール(返済条件の変更)という方法を
取ることも増えています。
これは、平成21年に金融円滑化法と言う法律が出来たからです。
この法律は、簡単に言うと「金融機関は、リスケジュールをしなさい」と言う法律ではなく、
「企業が返済の相談に来たら、
リスケジュールを含めて、しっかりと相談にのってあげましょう」と言う旨の法律です。
でも、「相談にのる」=「リスケを受ける」と言うケースも多く、
リスケをしている会社が増えてしまっています。
しかし、この金融円滑化法は、平成25年3月までの時限立法であり、
すでに終了しています。
だからと言って、急に厳しくなったわけではありませんが、
徐々に厳しさを増していく可能性はあるのです。
今まで、リスケジュールをする企業でも対応がしやすかったということは、
通常の資金調達する企業にとっても対応しやすかった時期でもあります。
でも、今後はリスケ企業に対しても少しずつ厳しくなると同時に、
金融情勢全体が、厳しくなる可能性もあるのです。
よって、企業としては、金融情勢、銀行の動きはしっかりと把握しておくべきなのです。
資金調達できる会社とは?
そのような情勢の中、銀行対応及び企業の経営は今後さらに大切になっていきます。
今回、六回に渡ってお話してきたことは、銀行対応の基本的な部分です。
もちろん、もっと複雑は話もありますが、
この基本的な部分を押さえて銀行対はすべきなのです。
全体のまとめをすると・・・
「銀行はお金を貸す時に、使い道、過去の収入、財産、将来の収入を見たいと思っている」
よって、融資をする時には、
- 「使い道」 = 資金使途
- 「過去の収入」= 損益計算書
- 「財産」 = 貸借対照表
- 「将来の収入」= 事業計画書、資金繰り表
を見て融資判断をする。と言う流れが基本です。
これから考えると、資金調達出来ない会社と言うのは
- 「資金使途」が不明
- 「損益計算書」が2期以上連続営業赤字
- 「貸借対照表」が債務超過(実質債務超過)
- 「事業計画書」「資金繰り表」がなく、先の見通しが立っていない
そういった会社なのです。
逆を返せば、資金調達できる会社が見えてきます。
- 事業計画書をしっかり立て、社長や従業員が明確に行動を起こせる会社
- 事業計画書に基づき、資金繰り表を作成し、早めに対等に交渉できる会社
- それらによって、売上が上がって、利益が出る会社
- その結果、債務超過ではない(純資産のプラスの大きい)会社
今後の銀行対応と経営とは?
ここまで話を進めると、なんとなく分かってきたと思います。
銀行対応と言うと、
銀行と何を話すかと言う話や決算書の見せ方(作成方法)を変えてみるというような
テクニック的な話もあります。
それらも場合によっては必要です。
しかし、本質の銀行対応をより良くする(=資金調達をできる会社)には、
「事業計画書を立て実行し、資金繰り表を立て資金の状況を早めに把握対応し、
売上・利益をあげ続ける」という通常の経営の基本の流れを丁寧に実行する事が
重要なのです。
そうすることにより、
銀行との取引も友好的になり、厳しい環境の時にでも、協力体制が出来るのです。
でも、これらの事は、急に出来上がるわけではないところが大変なところです。
まずは、「行動できる事業計画書」、「資金の状態が分かる資金繰り表」を
作成するところから始めてみませんか。
これが今回六回に渡ってお伝えしたかったことです。
より良い銀行対応(資金調達)、および経営をしていくためにも
ぜひ、スタートをしましょう。
[完]