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ミヤンマー編:「軍政国家に資本主義の波」-最後の経済秘境・ミヤンマーの今-
(株)ユアロップ 代表取締役
山田 太郎
今回は、ミヤンマーのお話です。先週まで訪問していたミヤンマーの今をお伝えします。
ミヤンマーは本当に軍政国家か?
ミヤンマーの印象はどうでしょう?
「軍事政権で怖い国だ」
「北朝鮮と変わらない独裁政権」
「世界最貧国とされていて飢餓が発生している」
「民政化されて1年、まだまだ商売にならないのでは」
しかし、訪問してこれらは大きな誤解だと分かります。
ミヤンマーに訪れて感じるのは、「敬虔な仏教国」だということです。
どの街にもパゴダ(仏教寺院)があります。
このパゴダの近くを通る時は、皆、手を合わせてお祈りをしてから過ぎ去っていきます。
ヤンゴンの中心地にあるシュエダゴン・パゴダ。
仏塔は約100メータの高さで頂上には、76キャラッとのダイアと4300個の宝石埋め込まれています。
敬虔な仏教徒なのか、20年の鎖国状態で擦れていないのか、
市民は穏やかで揉め事を好みません。
モノを買ってもつり銭をごまかしたり、モノを盗んだりというようなこともなく
とても治安がいいのです。
賃金の安いミヤンマー
この国が最貧国と言われるのは、賃金の安さにあります。
平均月収は日本円にして約5000円足らず。年収わずか6万円。
バングラディシュよりも平均年収は低く、世界で最低ランクです。
ヤンゴン市内を走る市バス。ほとんどが日本からの中古のバスです。
ミヤンマー人は手先が器用で細かい仕事にも慣れています。
これらの特徴をとらえて、日本からも多くの縫製工場が多数操業を開始しています。
日本で販売されているシャツの約30%、背広の約25%が
このヤンゴン郊外の工場でつくられているのです。
「でも、日本からのモノは売れないだろう」と思うのは、大間違いです。
ヤンゴンには、高級デパートが数店ありますが、
全て日本と同じぐらいの値段で売られています。
ヤンゴンの中心地にあるデパート。品揃えが豊富。
日本の「100円ショップ」が進出していますが、品揃えは日本と同じ。
ヤンゴンでは約180円で販売され日本より高いのです。それでも飛ぶように売れます。
ヤンゴンの若きビジネスマン
ビジネスに成功する若者が沢山います。多くは、30歳代から40歳代です。
建設、ホテル開発、縫製工場、ゴム製品工場、農業関係、中古車デーラー、漁業関係と
幅広い分野で成功した人がいます。
安く真面目で、手先が器用な労働力を背景に成功を収めているのです。
この変化は、テンセイン大統領の下、民政化してから1年の変化です。
とても進歩と成長が早いのです。
若者は夜、街のバーやオシャレなレストランに繰り出します。
どのバーも夜は大賑わいです。
我々のミヤンマーでのビジネスパートナーのご自宅。
プール付で、5台以上の外車を所有。
もちろん、大多数の国民は質素な生活をしています。
しかし、その国民に不安感や暗さはありません。もちろん飢えもありません。
停電の多いミヤンマー
難点をあげるとすれば、停電が多いことです。ほぼ毎日6時間以上の停電があります。
その場合は、自家発電機で対応しています。
「電気大臣にミヤンマーのロウソク会社が感謝している!」
という新聞記事が出ていました。
政府批判がこのように記事で堂々と行われています。
ミヤンマービジネス再加速!
ミヤンマーのこの数か月間は、更に変化と成長を加速していると思われます。
先週、民主化リーダーのアウンサンスーチ氏は、
24年ぶりにミヤンマーからタイへ出国しました。
先々週、米国の商工会議所議員団やGEの副社長がミヤンマーを電撃訪問、
米国の経済封鎖解除も時間の問題でしょう。
イギリスの首相、韓国の大統領も電撃訪問しました。
ミヤンマー進出についてもたもたしているのは日本です。
日本とミヤンマー政府は、1200haにも及ぶテラワン工業団地の開発で合意しました。
ヤンゴン最大の港(ヤンゴン港)にも面していて工業団地としては絶好の場所です。
ヤンゴンの南に約30キロにあるテラワン工業団地。
テンセイン大統領が来日した際、野田首相と電撃的に開発を決めた予定地。
ビジネスチャンスの大きい国ミヤンマーに是非、行ってみませんか?
アジアへのビジネスの価値観がまるで変ってしまうこと間違いなしです。
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