Hot Business in Asia ~沸騰するアジアビジネスの現場から~
シンガポール編:「東南アジアの雄・シンガポール」-もう一つの姿-
(株)ユアロップ 代表取締役
山田 太郎
東南アジア・センターとしてのシンガポールの今をお伝えします。
シンガポール建国の父と華麗なる一族
この国の今日の発展は、リークワンユ元首相の話を抜きにしては語れない。
いや、全ては彼によって、国の隅から隅まで国家開発がデザインされたと言っても
過言ではない。
彼には様々な逸話が多い。
シンガポールの政治改革を行う際、まず官庁にエアコンを最初に導入したのだという。
「シンガポールは湿度も伴って強烈な暑さを感じる。
これでは、政治を支える役人が仕事にならない」というのが理由だという。
「日本の箸を見ろ。日本の箸は持ちやすい様に、工夫して箸全体が細く軽くしている。
一方、過去の習慣を変えられない中国の箸は持ちにくくてつかみにくい。
いいものに変える日本人の姿勢を学べ」と号令をかけた。
建国の父、リークワンユ元首相(Wikipediaより)
そして、彼は、今でもシンガポールの全てを握っている。
リークワンユ氏の長男、リーシェンロン氏は現在のシンガポール首相。
次男は、国内最大の通信会社、シングテルの元CEO。
シンガポール航空、DBS銀行の株主である、国内最大の財閥セマティクグループの
元CEOは、長男の妻であった。
まさに華麗なる一族だ。
知られざる工業国家・シンガポール
シンガポールはアジア最大の金融の街として知られている。
あまたの国際的な銀行も多く、東南アジア最大の金融センターでもある。
しかし、シンガポールは一方で、立派な製造業に立脚した国でもあるのだ。
「え、シンガポールで製造業?あんな狭く人口が少ない国のどこに製造業が?」
と思う人もいるかも知れないが、
シンガポールは政策で「自国の産業の30%は製造業を行う」と決めている。
その割合は、日本のGDPに占める製造業貿易輸出割合より大きい。
逆に日本の製造業が占める割合は、すでに、17%以下にまで下がってしまった。
日本はもはや製造立国とは言えなくなってきたのだ。
そして、国土の狭いシンガポールには、820haにも及ぶジュロン工業団地をはじめ
多くの工業団地が存在する。
更に、このジュロン工業団地は、東南アジア最大の規模なのだ。
技術を身に着けようとするシンガポールは、
リークワンユ元首相のもと製造業を発展させてきたのだ。
シンガポールで大成功した日本の「まる玉ラーメン」(日本国内は4店舗のみだが、シンガポールで5店舗、インドネシア2店舗、その他、タイ、マレーシア、香港と展開している)
沸騰する不動産開発「イスカンダル計画」
シンガポールに接するマレーシアの都市・ジョホールバル。
シンガポールが約500万人の人口に対してここは約90万人の都市だ。
ここの不動産開発が沸騰している。
「イスカンダル計画」としてシンガポールの2倍以上の地域の大規模開発を行っている。
ジョホールバルへは、シンガポールの中心地からバスで約40分、誰でも手軽に行ける。
そのバスが国境までなんと日本円で200円もしない。
あまりの安さに何度も為替換算を確認してしまったほどだ。
ジョホールバルの「イスカンダル計画」(シンガポール島を取り囲む様に大規模開発をしている)
沸騰するアジア、中でもシンガポールには、キャピタルゲイン税や相続税もない。
フライングマネーの行きつく先として密かに移住する日本人も多いのだ。
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