伸び悩み、ジリ貧企業は必見! 治した会社から伸びていく「中企業病」対策
フラックスブレイン・コンサルティング
代表 宮林幸洋
第4回 「中企業病」の処方① ~病気の本当の原因
何がマズかったのか?
ことの発端はトップの強いリーダーシップであるとはじめに申しましたが、
リーダーシップが強いこと自体何ら悪いことではないはずです。
では、現場に権限を渡していなかった、つまり権限が集中している、
「強権」であることがマズかったのでしょうか。
しかしながら、未成熟な中間管理職層に易々と権限を渡すわけにもいきません。
コミュニケーション不全を起こしているのなら、
トップと現場がもっと腹を割って話せるようになっていればよかったでしょうか。
それもあるのですが、一体何を話しましょうか。
スパン・オブ・コントロール
すでにお分かりのことと思いますが、結局のところ、中間マネジメントだけでなく
トップのマネジメントまでもが未成熟あるいは不適切だったことが原因です。
せっかくの「強いリーダーシップ」が
会社組織に応じた形で発揮されていなかったとも言えます。
スパン・オブ・コントロールという言葉をご存知でしょうか。
「統制範囲」や「管理限界」という意味合いで、
要するに、「管理者が何人までの部下を持てるか」ということです。
一般には5,6人、せいぜい10人までと言われていますが、トップとて同じことです。
人数が増えてきたら、直接管理するのではなく階層化して「管理させる」必要があるのです。
いつまでも細かな事案の決裁権までをトップが握り続けているようでは、
中間マネジメントは育ちません。
会社がある程度の規模になった過去の時点で、
直接管理から間接管理にトップが切り替えるべきだったのです。
そうすれば、彼ら(中堅クラス以上)はもっと考える必要性に迫られ、
マネジメント力を向上させる機会があったはずです。
一つ上の仕事
役員クラスや中堅クラスの従業員にはマネージャーとして本来の仕事をして
もらわなければなりません。もちろん、相応の権限も渡す必要があります。
つまり、既存事業についての多くを部下に任せるのです。
彼ら、彼女らにとっては一つ二つ上の仕事であり、すぐにはできないかもしれませんが、
やらせないままだと、いつまでたってもマネジメント力は育ちません。
一方、部下に仕事を渡したトップは何をするべきでしょうか。
当然ながら、トップにも一つ上の仕事をしてもらうことになります。
会社のこれからの事業展開(ビジョン)を考え、戦略を練ることです。
要するに「次、さらにその次の手を考え、探す」ということです。
既存事業の環境や状況が厳しくなっているのであれば、やらなければなりません。
実は、それを十分にして来なかったから、現状が厳しいのです。
筋の通った施策を
既存事業を部下に任せるといっても、全くタッチしないというわけにも行きません。
並行して考えている"ビジョン、戦略"とも照らし合わせて、方針や目標を与えます。
あとの実行については部下に任せて、その進捗をマネジメントするのです。
何やら大企業の社長のやっていることのようですが、規模の大小にかかわらず
トップとしてはそういうスタンスであるべきです。
一つ留意してもらいたいのは、
トップの打ち出す方針が、ビジョンや戦略に対して整合し一貫性を保っていることです。
さらに、役員や部課長らが現場に指示する施策に至るまで整合性と一貫性が必要です。
つまり、場当たり的な指示ではなく、
上から下まで筋の通った施策展開や指示を行ってもらいたいのです。
前回お話しした実際の会社の例では、現状を勘案しないことに加え
場当たり的で整合性がよく分からない施策や指示であったことが
中企業病を悪化させました。
中企業病自体が、
様々な要因が複雑に(ぐちゃぐちゃに)絡って生まれた悪循環なわけですから、
これから出す方針や施策指示は筋の通った(整合性、一貫性のある)ものと
しなければなりません。
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