伸び悩み、ジリ貧企業は必見! 治した会社から伸びていく「中企業病」対策
フラックスブレイン・コンサルティング
代表 宮林幸洋
第6回 「中企業病」の処方③ ~具体的課題への対応
前回は「中企業病」の克服には「経営戦略・計画」の策定が効きそうだということを
お話ししました。
中企業病克服のための経営戦略・計画
少々手前味噌ではありますが、
私が「(中期)経営戦略・計画策定プロジェクト」をお手伝いする場合は、
単なる数値計画の作成で終わることはしません。
ビジョンや方針を重視し、計画が有効に機能することを目指します。
(計画の達成というより、会社が変わっていくことが重要)
戦略、計画をつくったら、
それを実行していくための組織やマネジメントのあり方まで組み立てます。
また、戦略や計画は、「出来上がったものよりむしろ策定するプロセス自体こそが大事」
という観点から、
部署横断的なメンバーの参画によるプロジェクト組成をお願いして、
活発なコミュニケーションの場となるように進めています。
そういったことが中企業病克服のためにも重要なことだと考えています。
中企業病を患ったままだと、新しく何かをしよう、何かを変えようとしても
上手くいきません。それはつまり、
これから起こる環境変化やこれから生じる経営課題に対して非常に脆いままということに
なるのです。
具体的課題への対応 ~働き方改革
例えば「働き方改革」。
残業の削減など総勤務時間を減らすことが前提となるため、
それを埋めるために利益率の高い仕事内容に変えていかなければなりません。
従業員の勤務時間を管理すれば済むような話ではなさそうです。
利益率向上のために経費を減らそうにも、すでに随分と絞ってきたと思われますし、
緊縮方針は手足を縛ってしまうことになり、チャレンジの妨げになります。
本来やるべきことは、利幅の大きな商品やサービスの提供を考えたり、
新しく利益の見込める事業へシフトしたりすることです。
(中企業病を患う会社には困難であることはお分かりいただけるでしょう。)
面倒で遠回りなようですがやはり、
戦略・計画といったレベルから着手する必要があります。
(中企業病を治すのと同じことです。)
中企業病によって従業員の勤務時間にシワ寄せが行っていたわけですから
根を同じくする問題で、同じになるのは当然と言えば当然です。
具体的課題への対応 ~事業承継(内部承継)
「事業承継」においては、会社の悪いところまで継がない継がせないことが大事です。
会社の問題点を個々に捉えるだけでなく、それらが絡み合って悪循環に陥っていることを
分かっていないと、代が替わっても結局同じことを繰り返す恐れがあります。
ですので、事業承継においても中企業病の克服は重要な課題です。
事業承継の準備段階では、財産面の承継(税務的、法務的な対応)だけでなく、
次のような取り組みを行ってもらいたいと思っています。
事業を引き継ぐ以前から、当代と後継候補者が中心となって
- 会社の長期展望(ビジョン)を構想して、それへ向けて戦略や計画を考えてみる。
- 今の会社の問題点を整理して、それを引き継がないための手を打ち始める。
の2点です。中企業病を治すための取組と同じです。
実際の案件で、後継候補者をリーダーとした、長期ビジョンと中期経営計画の策定を
お手伝いしたことがあります。
やはり中企業病的な症状がいくつも見られたため、ビジョンと社内の現状とのギャップが大きいことを認識・共有してもらいました。
将来の成長を阻害する恐れのある中企業病への認識は強く持ってもらえたはずですので、この会社は過去の轍を踏むことなく伸びていけるものと確信しました。
先々のことのようで、実は「今から」に関わる課題でもあり、
事業承継は(準備段階から)中企業病克服の大きなチャンスと捉えていただきたいです。
外部の活用
最後に蛇足かもしれませんが、「中企業病」やその処方としての「経営戦略・計画」などは
なかなか自社内だけで取り組みにくいテーマです。
外部人材の招聘や、私どものような外部ノウハウを上手く活用いただくことが
効果的かと考えますので申し添えておきます。
今回の私からの話は以上です。お読みいただきありがとうございました。
「中企業病」についてお考えいただけるきっかけになれば幸いです。
[完]