基礎から学ぼう、相続税
税理士・FP・行政書士
寺尾 省介
第4回 贈与されたものにも相続税がかかるって?
当然ですが、本来、贈与してしまった財産は、相続財産にはなりません。
亡くなった時点ではすでに被相続人の財産ではないからです。
しかしながら、第1回目で見たとおり、
相続税の課税対象財産に加算される贈与財産があります。
相続時精算課税制度の適用を受ける贈与財産と、亡くなる前3年以内の贈与財産です。
精算課税制度の適用を受ける贈与財産
精算課税制度とは、
贈与者一人に対して一生に2500万円まで贈与税が非課税になる制度のことです。
2500万円を超えて贈与されると、超えた部分に対して20%の税がかかります。
この制度を適用して贈与された財産が、
相続税の計算時に、贈与したときの価格で相続税の課税対象財産に加算されます。
相続開始前3年以内の贈与財産
被相続人から、相続・遺贈・死因贈与により財産を取得された方が、
相続開始日から3年以内に被相続人から贈与された財産が
相続税の課税対象財産に加算されます。
これは、相続開始前に相続財産を減少させる目的での贈与を抑制させるための制度です。
相続開始日前3年より過去に受けた贈与財産や
被相続人の財産を取得されない方が3年以内に受けた贈与財産については、
課税対象財産に加算されません。
一方で、非課税枠内の生命保険金のみを受け取った方や
非課税財産である仏壇のみを相続された方といった相続税の課税価格が「0」の方が
3年以内に贈与を受けていた場合、
その方の受けた贈与財産は、相続税の課税対象財産に加算されることになります。
ただし、居住用不動産の贈与の特例を利用して配偶者に贈与された財産や
教育資金の一括贈与については、
3年以内に贈与された場合でも課税対象財産には加算しません。
次回は、各種の税額控除について見ていきましょう。
参考国税庁HP:
⇒相続税の計算
⇒相続税がかかる財産
⇒相続時精算課税のあらまし
⇒相続時精算課税の選択
⇒相続時精算課税のメリット(その1)
⇒相続時精算課税のメリット(その2)
(国税庁HPは、改正後ではなく、現行制度の説明です。)
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