アラブ諸国に販路拡大するために ~今話題の「ハラール」を正しく知る~
アラブ・コンサルティングサービス東京
岩口 龍児
第5回 アラブ世界で成功する人材
今回は、アラブ世界で活躍できる人はどんな方なのか考えてみます。
東アジアの一国、日本の経営も独特と言われています。
高度経済成長からバブル景気のころまでの日本的経営について、
かつて海外では研究の対象でした。
終身雇用制度や年功序列などはすでになくなりつつありますが、
新卒一括採用などは世界に類を見ない日本独特の雇用慣行として現在も続いています。
アラブ・イスラーム的な経営の中で仕事をするために
どのような人材が輝けるか?ということを考えてみました。
異文化世界での経営という点では、他の海外でも通じることがあると思います。
「日本の当たり前を無理強いしないこと」
日本で外国人従業員と働くとき、日本の常識は通じません。
ましてや異なった文化を背景とした国で日本人が働くとき、
毎日が驚きの連続だと思います。
日本には「飲みニケーション」という言葉があります。
アルコールを飲みながらコミュニケーションを取るという意味の造語です。
第2回でも紹介した「ハラール」という言葉とともに、
イスラーム教徒(ムスリム)ではアルコールを飲んで酔っ払うことが禁じられている
ことは周知されつつあります。
それにもかかわらず、
アルコールを無理に薦めるのは問題になりますね。
長い間日本で働いているムスリムで、仕事上飲酒をした方は、
過去にお酒を飲んだことを後悔している人もいます。
「お互いの文化に敬意を表すこと」
日本のビジネス慣習が優れている、また相手のビジネス慣習が劣っていると考えている人は相手に見破られます。いわゆる「上から目線」ですね。
「郷に入っては郷に従う」という言葉があるように」
その国の目線でビジネスをすることが、特にアラブ社会だと重要になります。
日本人の時間感覚は世界で評価されていますが、
グローバルスタンダードでもないようです。
イスラーム世界では、独特の時間感覚を持っています。
「インシャーアッラー」というアラビア語があり、
「もし神が望むなら」という意味です。
イスラーム教徒は、約束をしたことに関してどんなに一生懸命努力しても、
不測の事態で思い通りにいかないことがあるという意味で使います。
またインドや東南アジアでは、
アラブとは異なる理由で日本と異なる時間感覚を持っているといいます。
「アラブで活躍できるタイプ」
アラブや海外で成功する人材は、
自国の常識に捉われることなく柔軟な発想を持つ日本人が活躍できると考えます。
著者の私はアラフォーですが、
最近20代の若い方と接すると国内外の教育機関で様々なことを学び
国際感覚が優れている人々が増えてきている実感があります。
私の印象としては、
好奇心があり変化を楽しいと思える何でも面白がる方が
外国人スタッフと上手にコミュニケーションをとり信頼関係を得ているように
感じています。
今回は、アラブ世界で成功する人材についてお伝えしました。
次回は、まとめとして
日本企業のアラブ・イスラーム諸国進出に可能性についてお話しします。
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