景気指標を読み解き経営に活かす方法

WORLD MARKETSを読み解く

ファイナンシャルプランナー

長谷 剛史

今回は1回目ですので、毎日(日・月除く)日経新聞の1面右下に掲載されているWORLDMARKETS(6つの指標)を見ていきます。

株価(日経平均株価・NYダウ)

株価は国の経済状況を映す鏡と言われていて、3か月から6か月の先行指標になっています。
先行指標は経済の先行きを示し、先を読むことができる指標です。

日経平均の225社で東証1部時価総額の約7割を占めていますので、日経平均が国の経済を映す鏡ということができます。


ニューヨークダウは、正式名称を「ダウ工業株30種平均」と呼ばれるもので、100年以上の歴史があるアメリカの代表的な株価指数です。

 

株価指数の数値が上昇してくれば経済状況の先行きは明るいですし、 数値が下落し続ければ経済状況は今よりも悪化し先行きは暗い、というふうにビジネスや生活におけるバロメーターとなるわけです。

 

今年に入ってからヨーロッパ財政問題の過度な悲観論が後退したことにより、日経平均株価・NYダウとも上昇しています。

3か月~6か月先の経済状況は、現在よりも明るくなっていると推測することができます。

為替(ドル・ユーロ)

為替とは、「交わし」という言葉が変化したもので、交換することを意味し、為替レートとは、円とドル・円とユーロ等を交換するときの交換比率のことを言います。

大事なポイントは、為替相場は長期的に見ると「国の実力」を示す指標で、ヒト・モノ・カネの基盤がしっかりしていればその国の通貨が買われて高くなり、基盤が不安定になると売られて安くなるということです。

国力のバロメーターとして大事な指標になります。

尚、その国のヒト・モノ・カネといった基盤をファンダメンタルズ・経済の基礎的条件と言い、

ヒト「政府の効率性」モノ「市場開放度」カネ「財政状況」で見ることができます。

基礎的条件が整備されると、国際競争力が強くなりその国の通貨は高くなります。

 

現在の状況を確認すると、最近1か月半という短期間に円はドル・ユーロに対して大きく円安に振れました。

これは、日銀の金融緩和政策が一番の理由ですが、中長期で考えれば「国の実力」を反映した為替レートに収束していきます。

長期金利

長期金利とは、国債の利回りを指しますが、カネがどの市場に向かっているのかを示す指標になります。

大きな流れとして、「土地」・「株式」・「債券」・「商品」・「カネ(為替)」という市場がありますが、この中で債券市場の長期国債の利回りを追いかける指標のわけです。

長期金利が上がっていくということは、債券が売られて他の市場にカネが移動しています。
つまり、債券価格は下落しますので売ったおカネが土地・株式・商品・為替に流れていくことになります。

長期金利を追いかけるとカネの流れが見えてきます。

長期金利が上がっていくと住宅ローンや車のローンの金利も上がっていきます。

 

90年代後半以降の長期金利のピークは3.28%、ボトムは0.43%です。

この数字をメモしておいて、現在の1%前後の数字がどのように動くのか注視してください。

ドバイ原油

日本は原油を99%輸入に頼っていて、その大部分は中東(サウジアラビア・アラブ首長国連邦等)からの輸入になります。

ですので、日経新聞では、アジアの原油価格の指標であるドバイ原油の現物価格を掲載しています。

一方、世界の原油価格の指標は、アメリカのテキサス州で取れる原油の「WTI」になります。

原油が高くなると、電気代やガソリン代だけではなく、食料品や生活雑貨も上がっていき、企業や家計に大きな影響を与えることになります。

現在、1バレル120ドル前後で3年半ぶりの高値で推移しています。

これは、イランと欧米の対立激化・アメリカの経済指標に明るさが見えることが理由です。リーマンショック前は約130ドルでしたので、この数字に近づいていくのかどうかに注目し、今後の経済状況を先読みします。

 

内外の様々な情報によって市場は動き、数値が変動します。

WORLDMARKETS(6つの指標)をチェックすることで、情報感度が高くなりますし、その数値変動の原因を考えるくせをつけていけば、景気を先読みすることができ、経営に活かすことができます。

 

次回からは、本格的に景気指標の読み方・活かし方を取り上げていきます。

第2回は、「富士山産業の状況を確認する」です。楽しみにお待ちくださいね。

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